私は大学1年生の夏休みに、約45日間ほど富士山の7合目より上にある山小屋でアルバイトをしていました。
あまりにも自分の常識を超越した強烈な45日間で、現在の自分にも多大な影響を及ぼしています。
今回は、その時の経験やアドバイスを記事にします。
なぜ富士山でバイトをしたの?
理由はいたってシンプル、「富士山が大好きだから」です。
両親がアウトドア大好き人間で、私が富士山に初めて登ったのは小学1年生の時です。
そこから富士山に魅了され、毎年登り続け、大学生になった時点ですでに10回以上の登頂経験がありました。
そして、大学生になってから、念願の大好きな富士山での滞在を実現させたわけです。
応募した方法
ネットで「富士山 山小屋 アルバイト」みたいな感じで通常のルートで応募しました。
履歴書か何かを確かネットで送って、とんとん拍子で話が進み、当初は7月31日~8月31日までの契約でバイトが始まりました。
小屋締めが確か9月12日とかだったので、山小屋生活の中で、もっとここに居たいと思うようになって小屋締めまで延長を決定しました。
仕事内容
仕事内容は、言ってしまえば「旅館と似たような感じ」かと思います。
お客さんを迎えて、送り出して、の繰り返しでした。
男性スタッフが10人ほど、女性スタッフは3人ほどで、基本的には役割分業されていて女性はずっとキッチンでご飯作っていました。
なので、基本的な仕事内容は料理でした。
山小屋の基本的な1日
【6:30(出勤)~8:00】
- スタッフの朝食準備
- お客さん見送り
【9:00~12:00】
- スタッフの昼食準備
- ベッドメイキング
【13:00~15:00】
- お客さんのお弁当の準備
- 小屋周辺の掃除
【15:30~17:00】
- スタッフのご飯準備
- お客さん晩ご飯準備
【17:00~22:00】
- お客さん到着
- お客さんご飯
【22:00~1:00】
- 早番の時はここから少し休憩をとって、さらに仕事が続く
【1:00~2:30】
- お客さんが小屋を出発して山頂へ
【3:00~4:30】
- 1日の中で最も静かな時間
【4:30~5:30】
- ご来光 (日の出)
【6:00~】
- お客さんが山頂から小屋へ帰ってくる
【7:00(早番終了)~14:00】
- 睡眠
ざっくりですがこんな感じのスケジュールです!
6時半から夜の10時近くまで、かなりの長時間労働ですよ。
私が働いていた小屋はマックスで300人近くのお客さんを収容していたので、毎日めちゃくちゃ忙しかったです。
ただ、忙しさは小屋次第です。
キャパが150人のところもあれば、400人のところもあります。
そして、小屋の雰囲気も小屋次第です。
私の小屋は、かなり体育会系だと感じました。
しかし、同時にみんなすごく仲良くて家族みたいな雰囲気でもありました。
どれくらい稼いだの?気になるお給料!
このお給料は、アルバイトの最後に手渡しされました!
40枚の諭吉を目の前で数えて、ドーン!ですよ。かなり興奮したのを鮮明に覚えています(笑)
小屋が開いている期間は6月中旬~9月中旬なので、ずっと山小屋にいる人はおそらく100万円以上稼いでます。
そして、2年目、3年目と経験を積んでいくと毎年給料が上がる仕組みになっています。
辛かったこと
大好きな富士山で働くアルバイトでしたが、山の上という厳しい環境で働く以上、もちろん良いことばかりではありません。
42日の大半はとても辛い日々で、慣れないことも多く、実はたまに一人で泣いてました(笑)
① 伝統的?体育会系?小屋の体質
さっきほども少し記述した通り、私の勤めていた小屋は、古めかしい日本古来の性格を持っていました。
- 「ご飯中は基本正座」
- 「電話は若い人が絶対取る」
- 「ごはんの席順」
などなど、今まで体育会系の社会をあまり経験したことのない私は、この意味のない風潮にすごくストレスを感じていました。
全然フレキシブルじゃない環境には、ただイライラが募る日々でした。
理由があるならまだしも、時に理不尽に怒ってくる人もいて、どこが怒ポイントかわからない人と常に一緒にいるとめちゃくちゃ精神的に疲弊します。
おそらく、これが一番つらかったことですね。
② 共同生活のストレス
共同生活のストレスも大きかったです。
山小屋の中でプライベート空間は一切ありません。
さらに、山小屋は十分なスペースがないので同じ空間でまとまって寝ます。
自分のスペースは布団1枚分です。冗談抜きで、そんな狭さでした。
みんなに邪魔されて、本もまともに読めない。
そんな環境に慣れていなかったので、かなりストレスは感じました。
③お風呂に入れない
これも小屋によりますが、基本的に山小屋は雨水を貯めて生活しています。
なので、雨水が貯まらないとお風呂に入ることが出来ません。
お風呂に入る頻度は、基本的に1週間に1回でした。
しかし、私はアルバイト期間中に風邪をひいてしまったせいもあり、最大16日間お風呂に入らない日々を経験し、45日間のトータルで確か4回しかお風呂に入りませんでした。
これは今ではもはや自慢話です。どんな状況でも生きていけますよ!って(笑)
そして、お風呂の次の日は、そのお水でみんなの洋服を洗濯しなければいけませんでした。
楽しかったこと
辛かった時間がほとんどですが、もちろん楽しかったこともありますよ。
① 共同生活の楽しさ
共同生活は大変でしたが、すぐにみんなと仲良くなれて、包み隠さずにありのままでいることができました。
嫌でも、お互いのことをいっぱい知るようになれます。
共同生活に慣れていなかったこともあり、これはとても新鮮な経験でした。
② 違う世界の人との出会い
私はごく普通の大学生で、今まで浪人という経歴はあるものの、日本の社会のルートに乗ってのらりくらりと生きてきました。
しかし、山小屋にいる人たちは違います。
私の山小屋では大卒の人なんてほとんどいなかったですし、みんな変わった、様々な経歴を持っています。
「定職につかず、季節の仕事を移動しながら生活している人」や「元ホストの人」など、東京で普通に大学生をしていたら絶対に会うことのできない人たちに沢山会うことができました。
そして、今まで知らなかった人たちとの出会いを通じて私の人生はかなり変わりました。
この山小屋で、各国のワーキングホリデーを利用して生活している人に出会い、
と決めたんです。
それが今実現して、オーストラリアに滞在しているわけですから、どんなに辛かったことがいっぱいあったとしても、山小屋の経験を通じて私の人生が大きく変わったと言わざるを得ません。
それくらい、自分の人生に大きな刺激を与えてくれた「変わった人たち」にいっぱい出会えたことができたわけです。
この出会いには非常に感謝していて、それまで、多くの「(~である)べき論」を軸に選択をしてきた私の人生が、急に変わっていくような感じがしました。
と少し自分の未来の選択肢が増えたような感覚です。
まとめ
今回の記事は、おそらく山小屋生活の辛かったことが最も記述されていますが、それほど、今まで自分が常識だと思ってきたことが、あまりにも小さい世界のものであったのだと思います。
自分が「良い」と思って、もしくは「そうするべきだ」と思って生きてきた生き方が、大きな壁にぶつかった時期でした。
山小屋には変な人たちがいっぱいいます。
世の中にはいろんな人がいて、いろんな生き方があります。
色んな生き方をしている人を目の当たりにして、「自分ももっと自由でいいんだ」と少しづつ思えるようになりました。
そして、
の魅力を体感しました。
口ばかりでない、自分の好きを追求する人生がどれほど輝いているか。
周りの価値観に惑わされない強さが、どれほど素敵なことか。
そこで得た学びを現在自分の人生にも反映させています。
人生で一番最高な夏休みだったことは間違いありません。
富士山の山小屋バイトに興味を持っている方は、ぜひ一歩踏み出してみてください。