名前が似ていて、しかも、重複する分野がある場合は判別がつきにくいものです。
経済学・経営学・商学は、まさに代表的な例と言えるでしょう。
漠然と「経済について勉強したい」と思っているだけでは、経済学・経営学・商学は、どれも似たものに見えてしまいかねません。

今回は、経済学・経営学・商学の違いについて分かりやすく解説します。
それぞれの違いを知り、自分に合った分野を専攻する参考にしてみてください。
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元予備校講師の営業マンです。
高校の非常勤講師、学習塾・予備校の講師の経験を活かして大学受験に関する記事を執筆しています。
経済学・経営学・商学の違い
正直、経済学部、経営学部、商学部に大きな違いはありません。
この3つの学問は兄弟のようなもので、就職に有利になるような優劣もありません。
研究対象の「規模感」を知ることで、自分に合った進路をイメージしてみてください。
● 社会に注目する「経済学」
● 組織に注目する「経営学」
● 取引に注目する「商学」


経済学・経営学・商学は、お金や経済に関する幅広い知識を扱うという共通点があります。
お金の流れを社会の仕組みと関連付けると、経済学の色合いが強まります。
組織について着目すると、経営学の要素が色濃く出るでしょう。
実際の経済活動や流通・販売の仕組みに注目すると、商学の要素が強まります。
この3つの学問分野は互いに独立しているのではなく、お互いに重なり合っているということが言えるのです。
経済学とは
英語:economics


経済学とは、社会全体の経済の仕組みを学び、限られた資源(ヒト・モノ・金など)を効率よく配分して豊かになる方法を探る学問です。
経済学・経営学・商学の中で、もっとも大きな枠組みを研究する学問だと言えます。
研究対象は、現代日本だけではなく、過去から現在までの経済の成り立ち、仕組みや日本と世界の関連なども学びます。
経済発展の法則を解明し、現代社会が直面する経済的問題の解決を目指します。
また、政府が行う経済政策や国家の財政、貿易などの国際経済などを研究対象とします。
歴史とも関連が深い学問分野ですね。
他にも、社会保障や外交などとも関連深い分野だと言えます。
また、統計データを数多く扱うので、数学を使う機会も多いです。
具体的な研究テーマとしては、
- オリンピックがもたらす経済効果の研究
- 世界遺産に登録されると観光客がどのように変化するかの研究
などがあります。
「社会の中で経済が果たす役割などについて詳しく研究する」と考えるとよいでしょう。
【関連】
経営学とは
英語:business administration


経営学とは、企業や非営利団体など、人々が集まって一緒に仕事をする「組織について学ぶ学問」です。
と言い換えることもできます。
組織を運営するために必要な人やモノ、資金、情報といった経営資源を、いかにして活用して組織を運営・発展させるかを研究します。
例えば、「企業をどのように発展させるか」という事業計画や、従業員の管理なども経営学の研究対象です。
社会の大きな仕組みを研究する経済学と比べると、経営学の対象は企業ですから、実践的な内容を研究すると言ってもよいでしょう。
経営学は、経済活動だけにとどまらず、病院やNGOなどさまざまな組織の運営にも応用できる学問です。
具体的な研究テーマとしては、
- 中国に進出した日系企業の戦略研究
- 育児とキャリアアップを両立させる組織づくりの研究
など、組織に着目した研究がメインテーマです。
【関連】
商学とは
英語:business school


商学は、商品やサービス、お金の流れを研究対象とする学問です。
マーケティング、金融サービス、貿易実務など実践的な内容を学びます。
文字通り「商売」「商取引」に重点を置いた学問分野だといえますね。
経営学と似た側面を持っていますので、「経営学と商学に大きな違いは無い」とする大学もあります。
商学独特の分野としては、流通・マーケティングなどがあります。
商品をどのように動かし、販売するかといった販売計画も、経営学よりは商学よりの内容です。
そして、取引を分析する上で欠かせないのが、帳簿を読み解くための「会計学」です。
企業をめぐるお金を分析するとき、会計学は欠かせません。
数学というよりは算数ですが、数字がたくさん出てくる授業が多いです。
商学の具体的な研究テーマとしては、
- 現代社会における卸売市場の役割についての研究
- 百貨店の広告についての研究
など、実際のビジネスに近い内容を研究することが分かります。
【関連】
3つの学問分野のどれを選ぶかで迷ったらどうすればいいの?
志望校決定の際、経済・経営・商学で迷ってしまったらどうすればいいのでしょうか。
選択するためには、自分が経済のどのような面に興味があるかを見極める必要があります。
経済の歴史や社会との関わり、株取引などに興味がある場合は、経済学が向いているでしょう。
お金を生み出す組織や、団体の運用の仕方、会社の経営などに興味がある場合は、経営学が向いているでしょう。
実際のビジネスや流通、取引の実例などに興味がある場合は、商学が向いているでしょう。
より具体的に言えば、


そんな研究者肌な理論派⇒経済学


そんな経営者肌な理論派 or 実践派 ⇒ 経営学


そんな商売の最前線で戦う営業肌な実践派⇒商学部
それでも迷ったら、各大学のHPに掲載されている教授の研究テーマを見ましょう。
そうすれば、授業内容をある程度想像できるはずです。
さいごに
経済学・経営学・商学は、いまいち違いが分かりにくい学問です。
実際、経済学はまだしも、経営学と商学を合わせた学部を設置している大学はたくさんあります。
株取引や社会問題に興味があるのに、経営学部を選んでしまうと後悔します。
また、企業経営や営業に興味があるのに、経済学部を選んでしまうと後悔します。
自分が間違った学部に入らないよう、せっかく経済学・経営学・商学の違いに疑問を持ったなら、それぞれの大学の学部で、「具体的に何を学べるのか」を調べましょう。

