大学では『GPA』という言葉をよく耳にしますが、具体的に何のことだか分からないですよね。
簡単に言うと、GPAは成績評価値のことを指し、日本の約8割の大学で導入されています。
現状、GPAは就活では重視されにくいものの、
大学院進学や留学、授業料免除の選考では評価されますので、できるだけ高い数値を維持しましょう。
GPAとは何か

GPAは、評点(Grade Point) の 平均(Average)
GPAは学生の成績評価値、または成績評価の方法のことを指しています。
GPAは、日本の大学の従来の評価基準である「優」「良」「可」「不可」などの
評価を数値化したものだと考えると分かりやすいでしょう。
大学の成績は、テストの点数や出席点、レポートの点数などを合計し、100点満点で決定されます。
あくまで例えですが、下記のようなイメージです。
GP (評点) | 標語 | 素点 |
4.0 | A+ (優上) | 90~100点 |
3.0 | A (優) | 80~89点 |
2.0 | B (良) | 70~79点 |
1.0 | C (可) | 60~69点 |
0.0 | D (不可) | 0~59点 |
評点無し | E (無効) | 無効(未受験など) |
GPAは評点を統一できる
大学ごとのGPと標語の対応表
GP | 4.3 | 4.0 | 3.0 | 2.0 | 1.0 | 0.0 |
大阪大学 | S | A | B | C | F | |
京都大学 | A+ | A | B | C | D | F |
東北大学 | AA | A | B | C | D | |
法政大学 | A+ | A | B | C | D | |
早稲田大学 | A+ | A | B | C | F/G |
GPAは、GPの平均(Average)で表されますから、GPAは、大学・学部ごとに微妙に異なる
『成績評価基準』を評点(GP)で統一できるというメリットがあります。
たとえば、大阪大学のA評価と京都大学のB評価は、同じ評点(GP3.0)です。
しかし、これでは、それぞれの大学の学生の成績を比較しにくいですよね。
こんな時に、A評価、B評価と表すのではなく、GP3.0と表せば簡単に比較できるわけです。
すると成績は評点(GP)によって数値化され、第三者が見ても分かりやすい形になるのです。
※多くの大学は、東北大学や法政大学のように0.0~4.0までの5段階でGPを評価しています。
GPAが重要になる場面・メリット
GPAが重要な場面
- 留学許可の審査
- 授業料減免の審査
- 給付型奨学金の審査
- 大学院入試
GPAの高さがもっとも影響するのは、学内で何らかの選考が行われるときです。
例えば、海外留学で行きたい国に複数の希望者が応募した場合、
成績が優秀な方、GPAが高い方が学内選考で有利になります。
また、GPAが高いと経済的な恩恵を受けられる機会も増えます。
学内の奨学金や授業料免除の選考でも、GPAは評価材料になるのです。
GPAが低くなることで、奨学金を途中で打ち切られることすらあります。
さらに、主に3年次に多いのですが、ゼミや研究室を決定するときの成績資料としてGPAは重要な意味を持ちます。
研究室やゼミには定員がありますので、GPA上位者が選考で有利なのは当然のことです。
特に、東京大学の進学選択制度(進フリ)はGPAが重視されますから、1年次のGPAがとても重要になります。

東大では進フリで希望の学科に落ちてしまうと「仕方がない」と故意に留年し、次年度にGPAを上げて再挑戦する学生もいます。
そして、大学院の入試でもGPAは評価されます。
GPAが低いと希望の大学院の進学条件を満たせない場合があるので、
大学院への進学を考えている方は、特にGPAを気にして大学生活を送りましょう。
就活におけるGPAの価値とは

就職活動に関しては、GPAを評価する企業と評価しない企業があります。
そして、一般的には、就職活動においてGPAの重要度は高くないとされています。
学生のGPAが分かる「成績証明書」の提出を求めない企業も多いですので、
そもそも企業側が学生のGPAを知る資料が無いのです。
就職活動の際に、成績証明書を求められない企業では、GPAはまず選考に関係ないと考えていいです。
しかし、GPAをチェックする企業はあります。
基本的には、「学生が大学を卒業できそうか否か」を判断するために、成績証明書の提出を求める企業が多いですが、
「成績証明書」の提出を求める企業では、「GPAで学生の優秀さを測られている」と一応考えておくべきです。
GPAの数値が、採否を決めるほどの影響力があるとは思えませんが、
わざわざ成績証明書を提出させる以上、選考基準の一つになる可能性はあるのです。
ですが、これは考えてみれば当然のことです。
立場を変えて採用する企業の目線で考えてみると、たった数回の面接で学生の人柄や能力の全てを理解することは困難です。
採用担当者としては、GPAのように数値化された指標はとても便利なものです。
採用担当者が、採用した学生と採用理由についてを上司に説明する際にも、GPAという数値であれば説明材料として使いやすいでしょう。
また、GPAと就職活動の関連でよく指摘されるのが、
「外資系企業はGPAを重視するのではないか」
という点です。
GPAは、そもそも欧米の大学で使われている指標です。
外資系企業にとっては、GPAはなじみ深く分かりやすい数値なのは間違いないでしょう。
表立っては公表しないでしょうが、
GPAが一定の基準以下の学生は、最初から選考対象から外す
ということを行う企業があってもおかしくはありませんので、心に留めておきましょう。
GPAの計算方法
GPAは、以下のような計算方法で導きます。

具体例
例えば、1年間の成績が以下のような学生A君がいたとします。
- A+評価:6単位
- A評価:10単位
- B評価:16単位
- C評価:8単位
- D評価:5単位
- 無効評価:3単位
すると、この学生A君の1年間のGPの合計はこのように計算されます。
GP | 単位数 | 合計GP | ||
4.0 (A+) | × | 6単位 | = | 24 |
3.0 (A) | × | 10単位 | = | 30 |
2.0 (B) | × | 16単位 | = | 32 |
1.0 (C) | × | 8単位 | = | 8.0 |
0.0 (D) | × | 5単位 | = | 0.0 |
無効(E) | 3単位 | |||
45単位+3単位(無効) | 95 |
そして、これを計算式に当てはめると、このようになります。

結果、学生A君のこの年度のGPAは「2.11」だと分かります。
E評価(無効)は、GPAの計算に入らない
E評価(無効)は、テストを受けなかったり、採点不能であったときの評価です。
単位 | GP | GPAの計算 | |
A+評価(優上) | 認定 | 4.0 | 入る |
A評価(優) | 認定 | 3.0 | 入る |
B評価(良) | 認定 | 2.0 | 入る |
C評価(可) | 認定 | 1.0 | 入る |
D評価(不可) | × | 0.0 | 入る |
E評価(無効) | × | 無効 | 入らない |
重要な点として、E評価(無効)はGPAの計算に入りません。
このため、高得点を取る自信が無い科目の期末テストでは、

D評価(不可)でGPAを下げるぐらいなら、テストに出ず、E評価(無効)を取ってGPAを下げない方を取る
という作戦を立てることもできるのです。
GPAの平均・印象
GPAの平均は、大学や学部によって異なります。
ですので、GPAの平均について確かなことは言えません。
しかし、個人的な感覚で言えば、40人が履修している授業の評価はだいたいこの図のように分かれるイメージです。

GPAの印象
◆ 3.4~4.0:かなり凄い。授業に毎回出席してテスト勉強もしっかりしている。
◆ 2.8~3.4:優秀。しっかり勉強しているor 凄く要領が良い。
◆ 2.0~2.8:平均的。しかし、気を抜けば簡単にGPAが下がる。
◆ 1.4~2.0:まあまあヤバイ。もう少し真面目に授業に出よう。
◆ 0.0~1.4:かなりヤバイ。留年一歩手前。とにかく授業に出よう。
GPAを取りやすい大学・学部はある

GPAの元となる大学の成績評価の基準は、各大学、各学部内によって異なります。
在籍する学部内で「優秀な立ち位置」にいれば、GPAは高くなるのです。
たとえば、
同じくらいの優秀さの学生が2人いるとして、
周りの学生が自分よりも偏差値が高い学部にいるAさんと、
周りの学生よりも自分の方が偏差値が高い学部にいるBさんでは、
Bさんの方がGPAが高くなりやすいです。
※例えを分かりやすくするために「偏差値」を使いました。
理不尽に思えますが、これは仕方がありません。
GPAは、同じ大学・同じ学部での成績比較には役立ちますが、他大学・他学部の学生と成績を比較する際には気を付けましょう。
GPAは一応高くしておこう

GPAは、大学での皆さん方の頑張りを数値化したものです。

単位さえとっていればいい
という感覚でギリギリの成績で単位を取得すると、
GP1.0やGP2.0の単位ばかりが増え、結果としてGPAが低くなってしまいます。
大学生活は長いですから、入学当初は想定していなくても、
後々、留学したくなったり、外資系企業で働きたくなったり、何が起こるか分かりません。
GPAが高くて困ることはありませんから、出来るだけ高いGPAを維持できるよう頑張りましょう。