推薦という入試制度は、高校を卒業してしまった既卒者(浪人生)にとって縁遠いことのように思うかもしれません。
しかし、しっかり調べてみると既卒者でも受験できる公募推薦があります。
今回は浪人生が公募推薦を受けるときの流れについて元予備校講師がわかりやすく解説します。
浪人生でも推薦を受けることができるの?
推薦入試には、指定校推薦と公募推薦があります。
指定校推薦は現役生のみが対象となるので、ここでの推薦は公募推薦を意味します。
公募推薦であっても、浪人生が出願できるかどうかは大学によって異なります。
募集要項で、出願条件を確認しましょう。
もし、出願条件が「高校卒業見込みの者」となっている場合は現役生のみが対象ですので浪人生は受けられません。
浪人生が受験できるのは「平成〇〇年以降に卒業したもの」という条件の場合です。
浪人生が公募推薦を受けるときの流れ
(1)出願校の確定
インターネットなどで下調べをし、各大学のパンフレットを取り寄せます。
ホームページで出願条件を満たし、浪人生でも受験可能であることがわかっているなら願書も一緒に取り寄せましょう。
(2)卒業した高校への推薦書依頼
公募推薦の場合、AO入試や自己推薦入試と異なり卒業した学校長の推薦が必要です。
卒業当時の学級担任が在校している場合は、担任を通じて手続きを進めましょう。
知っている先生方がいない、もしくは疎遠である場合は高校の事務局に問い合わせましょう。
推薦書だけではなく調査書も必要になるので、あわせて依頼するのを忘れないできましょう。
高校によっては、推薦書を出すかどうかを審査する場合があります。
審査が通らなかった場合は推薦がもらえませんので、公募推薦以外の受験方法に切り替えましょう。
また、書面での手続きが必要な場合もありますので、高校側の指示に従ってください。
(3)推薦書や調査書はすぐにはもらえない
高校側に作成してもらう推薦書や調査書は即日もらうことはできません。
数日、もしくは1週間程度が必要ですから、出願までに十分な余裕をもって作成を依頼しましょう。
ちなみに、土日祝日に受け取ることはできません。
また、一般受験でも調査書は使いますから、可能ならば調査書を多めにとっておくことを勧めます。
ちなみに、開封した調査書は大学側に提出することはできません。
(4)出願
必要書類をそろえて、大学側の締め切りまでに出願することです。
締め切りが「必着」か「消印有効」かの確認は重要です。
ぎりぎりに出願しなければ大丈夫ですので、早め早めに準備を進めましょう。
また、出願する書類は全てコピーしておきましょう。
特に「志望動機書」や「自己PR」など、面接や小論文に関る可能性があるものについては必ずコピーを取りましょう。
コピーは、「面接・小論文」の内容と提出した「志望動機書・自己PR」の内容に矛盾を生じさせないための対策に役立てましょう。
(5)面接対策
浪人生が現役生より不利なことの一つが、面接対策を指導してくれる先生がいないことです。
予備校に通っている場合は予備校側に相談し、面接対策をしてもらうようにしましょう。
自宅浪人生は身近な大人、例えば親や親戚でも構いませんし、出身校の先生に協力を仰いでもよいでしょう。
誰かに見てもらうことで、自分では気づかない欠点を見つけ出し、本番に備えるべきでしょう。
どうしても一人で面接対策をするのであれば、自分が座って喋る姿を動画で撮影して見直しましょう。
そのほか、志望動機については何も見ずに答えることができるのは当然のこととして、志望のきっかけ、大学入学後にやりたいこと、将来の展望(就職を含む)については何を聞かれても答えられる準備をしましょう。
(6)小論文対策
小論文でよくあるのが、何を書けばよいのかわからないという悩みです。
小論文の書き方や書いている内容については添削指導を受ける必要があります。
塾・予備校や通信での小論文の添削講座など手段はどれでも構いませんので、誰かに添削してもらうようにしましょう。
あまりに内容が薄かったり、論点がずれていた場合は致命的な失点になりかねません。
小論文は対策すれば伸びます。
長い文章を書くので勉強するモチベーションが起きにくいでしょうが、手を抜かずしっかり対策しておきましょう。
(7)入試本番
浪人生が推薦入試を受けるときの服装については特に規定はありませんが、スーツが最も無難です。
就活生が着るリクルートスーツで大丈夫です。
高校時代の制服を着ていくのは辞めましょう。
リクルートスーツであれば、販売店の店員さんなどに注意点を聞けば、特に問題ない服装で入試に臨むことができます。
私服だという理由で不合格になるわけではありませんが、TPOを考えた私服というのは思いのほか難しいのです。
であれば、スーツにしておくのが無難でしょう。
公募推薦の合格率
公募推薦は指定校推薦と異なり、高い確率で合格というわけではありません。
倍率にもよりますが30~40%の合格率でしょう。
となれば、不合格だったときのことも視野に入れなければなりません。
公募推薦を受ける最も大事な条件。
それは、不合格でもめげないことです。
倒れても立ち上がるメンタルの強さを持っていることが最も大事なことです。
特に浪人生は受験勉強のモチベーションを保つのが現役生に比べて難しいですから、推薦入試におちてしまったときに立ち直りにも要注意です。