一人暮らしの大学生にとって、仕送りはとても重要です。
特に、はじめて一人暮らしを始めた学生は日常生活で親との接点がなくなり、
家族間のコミュニケーションを取る機会が激減してしまいがちです。
親と連絡を取る機会は、一人暮らしの学生にはなかなか無いんですよね。
そしてそんな時に、一人暮らしの学生と親とをつなぐ接点になるのが「仕送り」なのです。
今回は特に金銭的な仕送りに焦点を当てますが、金銭の仕送りはとてもデリケートなものです。
仕送り額が少なすぎては学業に支障が出ますし、多すぎても学生が自立出来ません。
一人暮らしの大学生への仕送り額は、
「学費」「生活費」「家庭の年収」の3要素を参考にして検討してみましょう。
● 一人暮らし大学生への平均仕送り額
- 保護者の学費負担分も含む:約11.2万円
- 保護者の学費負担分は含まない:約2.3万円
● 仕送り額は「学費」「生活費」「家庭の年収」から考えよう
● 仕送りに満足している大学生は全体の約半数ほど
大学生の仕送り額の平均
今回は、日本学生支援機構の「平成26年度学生生活調査」を参照します。
全国の大学生約10万人を対象にして行われたこの調査によると、
一人暮らしの大学生の平均仕送り額は約11.2万円/月だそうです。
また、仕送り額を含めた一人暮らしの大学生の
平均月収は約17.6万円であり、その内訳は以下のようになっています。
平均額 | |
仕送り | 11.2万円/月 |
奨学金 | 4.0万円/月 |
アルバイト | 1.9万円/月 |
その他 | 0.5万円/月 |
円グラフから、一人暮らし大学生の平均月収のうち約6割が仕送りであることが分かりますね。
ちなみに、この仕送り額の平均には「保護者の学費負担」分も含まれていますので、
保護者が学生にお金を渡すような、一般的な仕送りのイメージとは異なります。
実際の平均仕送り額は、月2~4万円ほどです。
☆学費分を除いた平均仕送り額は約2~4万円/月ほど
上記の大学生の平均仕送り額には、「保護者の学費負担」分も含まれていました。
しかし、一般的に想像する「仕送り」には学費負担分は含めない方がいいですよね。
多くの家庭は学生に毎月学費を渡すのではなく、一括で学費を納入しているはずです。
ですから、ここで平均仕送り額から保護者の学費負担分を引いてみました。
つまり下の表の平均仕送り額が、大学生が本当に自由に使えるお金としての仕送り額の目安です。
平均仕送り額(学費分を除く) | |
国立大学生 | 2.3万円/月 |
公立大学生 | 2.4万円/月 |
私立大学生 | 2.2万円/月 |
ただ、このデータには学費を負担していない保護者の仕送り額も含まれていますから、
厳密にはもう少し平均仕送り額が上がるはずです。
おそらく、大学生の純粋なお小遣いとしての仕送りの平均額は、
国公立、私立に関わらず約2~4万円ほどになるのではないでしょうか。
学費分を除いた、お小遣いとしての仕送り額を考えている方は、
月2~4万円ほどの仕送り額を目安にしてみてください。
大学生の仕送り額を決める3要素
【1】大学の学費
【2】生活費(家賃含む)
【3】家庭の年収
【1】国立・公立・私立大学ごとの平均仕送り額
大学生の平均仕送り額は通う大学によって大きな差あるのですが、
これには大学の学費の差が関係しています。
まずは、国立・公立・私立大学ごとの平均学費をご覧ください。
学費平均 | |
国立大学 | 61万円/年 |
公立大学 | 62万円/年 |
私立大学 | 126万円/年 |
私立大学の学費が、国公立大学よりも約2倍ほど高いことが分かりますね。
したがって、私立大学に通う学生の方が必要な仕送り額が多くなるのです。
以下の、国公私立別の平均仕送り額をご覧ください。
平均仕送り額 | |
国立大学生 | 7.4万円/月 |
公立大学生 | 7.6万円/月 |
私立大学生 | 12.7万円/月 |
国公立大学に通う学生と私立大学に通う学生の仕送り額に、大きな差があることが分かりますね。
仕送り額は、通っている大学の学費の高さにある程度比例します。
仕送り額を考える際は、まずは学費の高さに注目してみましょう。
しかし、仕送り額に差が生まれる理由には学費以外の要素も関係しています。
次の項目で、居住形態(下宿先)別の平均仕送り額を見てみましょう。
【2】下宿先ごとの平均仕送り額
大学生の一人暮らしに必要な生活費は、
寮・アパート・マンションなど下宿先によって大きく変わります。
一人暮らし大学生の生活費は大半が住居費によって占められているため、
下宿先の家賃の高さによって生活費が異なるのは当然ですね。
そして、下宿先によって家賃が異なることで必要な仕送り額も変わります。
以下の、居住形態(下宿先)別の平均仕送り額をご覧ください。
寮 | アパート等 | |
国立大学生 | 5.2万円/月 | 9.6万円/月 |
公立大学生 | 6.9万円/月 | 8.2万円/月 |
私立大学生 | 11.7万円/月 | 13.8万円/月 |
学生寮で暮らしている学生の方が、
アパートなどで暮らしている学生たちよりも仕送り額の平均が低いことが分かりますね。
一般的に、アパートやマンション等よりも、学生寮の方が住居費(家賃)が安い傾向にあります。
仕送り額を決める際は、学生の下宿先の家賃を含めた生活費も考慮しましょう。
また、学費・生活費と並んで、仕送り額を決める際に考慮するべき要素があります。
それが、家庭の年収です。
次の項目で、家庭の年収ごとの平均仕送り額を見てみましょう。
【3】家庭の年収ごとの平均仕送り額
この項目では、家庭の年収ごとの平均お小遣い額について見ていきます。
※ここで引用しているデータは、一人暮らしの学生だけでなく実家暮らしの学生も含まれており、厳密には「仕送り額」であるとは言えないため、「お小遣い」と表現しています。
学費や生活費(家賃含む)によって、大学生活に必要な費用が大きく異なることはすでに書きました。
しかし、学生の大学生活に必要な費用を十分に賄えるほどの額を給付出来る家庭もあれば、出来ない家庭もあるのです。
つまり、
ということですね。
そこで気になるのが、家庭の年収ごとの平均お小遣い額です。
まずは、国立・公立・私立に通うそれぞれの学生の家庭の平均年収をご覧ください。
家庭の平均年収 | |
国立大学生 | 839万円 |
公立大学生 | 733万円 |
私立大学生 | 826万円 |
意外かもしれませんが、国立大学と私立大学に通っている学生たちとの間には、
家庭の平均収入の差があまりないことが分かりますね。
そして本題、家庭の年収ごとの平均お小遣い額は以下のようになっています。
家庭の平均年収 | 家庭からの平均給付額 |
年収400万円以下 | 6.7万円/月 |
年収700万円以下 | 8.5万円/月 |
年収1000万円以下 | 10.3万円/月 |
年収1500万円未満 | 12.5万円/月 |
年収1500万円以上 | 20.6万円/月 |
もちろん、こちらも「保護者の学費負担」分を含めた仕送り額となっています。
家庭の年収が上がるにつれて、家庭からの給付額(お小遣い)が増えるのは当然ですね。
この表も仕送り額を決める際の参考にしてみてください。
「学費」「生活費」から考える仕送り額は、
送られる側(学生側)から見た理想的な仕送り額です。
しかし、「家庭の年収」から考える仕送り額は、
送る側(保護者側)からから見る現実的な仕送り額となります。
学費・生活費・家庭の収入の3つの要素をしっかり検討しましょう。
平均仕送り額の推移
仕送り額の平均は、不況・好景気などの経済的な景気によっても左右されます。
ここからは完全なおまけになりますが、大学生の平均仕送り額の過去の推移について見てみましょう。
以下のグラフは「家庭からの平均給付額の推移」を表しています。
※このデータには、一人暮らしの学生だけでなく実家暮らしの学生も含まれています。
2008年には約12.5万円/月だった学生のお小遣いですが、
年々その額が減っていることが分かりますね。
2008年から2010年にかけての下がり幅が大きいのは、
リーマンショックによる不況が影響していると考えられます。
家庭の仕送りを送る経済的な余裕が年々なくなっており、この傾向は今後も続くかもしれません。
仕送り額は、今後の継続的な収入額も考慮して計画的に決めましょう。
仕送り額に学生は満足しているか
家庭からの仕送りには当然限界があり、
生活費や学費が足りない学生は奨学金やアルバイト代に頼ることになります。
そこで気になるのは、家庭からの給付額(お小遣い・仕送り額)に満足している学生の割合です。
ここで、興味部深い調査結果があるので参考にしてみましょう。
この調査では、
修学継続に必要な額に対して、家庭からの給付がどの程度十分であるか
というテーマをもとに、大学生から以下の内容のアンケートを集計しています。
内容 | 割合 |
家庭からの給付のみで修学可能 | 38.2% |
家庭からの給付のみでは修学に不自由 | 14.1% |
家庭からの給付のみでは修学継続困難 | 13.4% |
家庭からの給付なし | 7.5% |
アルバイト非従事者 | 26.8% |
まとめるとこうなります。
● 4割以上の学生が家庭からの給付額に満足している。
● 約3割の学生の家庭からの給付額が十分ではなく、約1割の学生は家庭からの給付が無い。
● 約2割の学生は家庭からの給付額に満足しているか、奨学金などの借金によって収入を増やしている。
さいごに
一人暮らしの大学生に対する仕送りは、
「学費」「生活費」「家庭の年収」の3つの要素から決めるのがおすすめです。
仕送り額を決める際は、学生と保護者がしっかりと話し合って決めましょう。
毎月定額の仕送りにするのもいいでしょうし、
学生が経済的に困ったときだけ不定期で仕送りを送るのもいいでしょう。
学生と保護者でお互いにしっかり話し合い、生活に合った仕送り額を決めましょう。