宅浪に失敗する原因と、よくいる失敗する宅浪生の一年間の流れについて解説します。
私自身、経済的な理由によって一年間の宅浪の末に大学生になりましたが、個人的には予備校に行けるのであれば行っておくべきだと考えています。
宅浪は確かにお金を節約できますし自由な時間もたくさんありますが、それでも予備校に通う浪人生が多いのはなぜなのか。
それは宅浪は失敗しやすいと多くの浪人生が理解しており、予備校にある大きなメリットを選んでいるからです。
宅浪をするのか、予備校に行くのか、迷っている方は参考にしてください。
原因1|孤独に耐えて勉強を続けられない
まず何よりも、自宅浪人生は予備校浪人生と比べて圧倒的な孤独感を感じます。
毎日家族としか顔を合わせないなんてこともありますし、浪人してしまった手前、家族に対しては多少の引け目を感じてしまうこともあります。
一緒に自宅浪人をしている友人がいれば少しは孤独が紛れるかもしれませんが、そんな友人も自分のことで手一杯ですから、宅浪生は結局孤独に勉強を続ける必要があります。
そして、そんな環境にいながら勉強を続けられる人って本当に稀なんです。孤独にはなかなか慣れません。
結局、宅浪生の多くは孤独を紛らわせるためにネットや娯楽に走り、貴重な受験勉強に使うべき時間と労力を無駄にしてしまいます。
原因2|前半戦に焦れず、後半戦で落ち着けない
自分の受験勉強の進み具合を正確に把握してくれながら鼓舞してくれる相手がいないので、自分のモチベーション管理がとても大変です。
予備校では、担当講師が自分の受験勉強の進み具合を見てくれながら、生活習慣も含めて黄色信号が灯っていると声をかけてもらうことができます。
そして勉強に対するやる気を維持しながら、一年間を通して受験勉強を続けることができるようになるんです。
しかし、宅浪生にそんな相手はいません。家族も「がんばれ!」など漠然としたことしか言えないのです。
そして、受験勉強のモチベーション管理が上手くいかない場合、このようなことが起こりがちです。
受験勉強の前半戦である4月~10月には焦ることが出来ない。
そして、肝心の後半戦である11月~本番では逆に落ち着くことが出来ない。
原因3|自分の実力を把握できても評価できない
模試を受ければ、宅浪生でもその時点の自分の実力を把握することはできます。
しかし、自分が志望校に合格するために十分な勉強をできているか評価することはとても難しいです。
特に、6月の河合模試を受けて自分の偏差値の高さに慢心する宅浪生は多いですが、現役受験生の多くが勉強をしていない年度のはじめ頃は模試の偏差値は高くでるものです。
しかも、月日が経つにつれて現役生の多くが受験勉強に本腰を入れますから、前半戦で慢心してスタートが遅れた宅浪生は、あっという間に追いつかれて追い抜かれてしまいます。
予備校であれば、大学受験についての研究者である講師たちが「現時点のあなたの実力」をしっかりと評価してくれますし対策も教えてくれますが、宅浪生にはそれが無いんです。
現時点の実力を評価できなければ、受験本番期の自分の実力を想定することもできません。
そして、慢心したり、逆に過度に不安になったりするんです。
受験勉強の質について相談できる相手をすぐに見つけられないのは、宅浪生にとってかなり不利なことなんです。
原因4|勉強以外のことに熱中してしまう
なぜ浪人をするのか、それは志望校に合格するために受験勉強をするからです。
学生の本分は「遊ぶこと」とよく言いますが、浪人生の本分は「とにかく勉強をすること」です。
しかし、宅浪生にはたくさんの誘惑があります。有り余るほどの自由な時間がありますから、受験勉強以外の余計なことを考える時間も多くなるんです。
私の当時の友人にもいましたが、特に宅浪生にはアルバイトを始めようとする方が多いです。
(その友人は浪人をしているのにアルバイトに精を出し、結局志望校のレベルを2段階落とすハメになりました。)
高校の頃の同級生たちが大学生や社会人になって励んでいる姿を見ると、どうしても勉強だけの自分にコンプレッスを感じてしまうんです。
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また、宅浪生は受験の全体的な計画やスケジュール管理、情報収集もすべて自分でしないといけません。
予備校では講師たちがスケジュール管理や情報収集を手助けしてくれるので、学生は受験勉強だけに集中することができます。
しかし、宅浪生は「模試の予約」や「受験する大学の日程調整」、「受験にかかる費用の計算」「大学近くで評判の良い宿を探す」など、勉強以外にもしないといけないことだらけなんです。
そして、貴重な勉強時間とメンタルがガリガリと削られていくわけです。
ここまで宅浪に失敗する原因について見てきましたが、次はよくいる失敗する宅浪生の一年間の流れを解説します。
宅浪をする覚悟を決めた方は特に気をつけてください。
失敗する宅浪生の一年間の流れ
3月:志望校と勉強の計画を立てる
- 「志望校に落ちてしまったときは絶望したけど、浪人する覚悟を一度決めてしまえば楽になれた。」
- 「予備校はお金がかかるし、勉強なんて参考書で十分!」
- 「せっかく浪人するんだし、志望校をかなり高く設定して自分のやる気を引き出そう。」
- 「一応、一年間の勉強スケジュールを立てとこう。」
受験と合否のプレッシャーから開放され、その反動で3月はさわやかな気分になります。
もちろん、受験勉強に対するモチベーションもとても高い時期です。
4~5月:勉強に集中する
春、年度はじめの空気を感じながら、大きな不安を感じることもなく受験勉強に集中することができます。おそらく、宅浪生の多くが一年間で一番勉強するのがこの時期です。
ここでエンジンを飛ばしすぎて、後半にかけて勢いが消えていくのが失敗する宅浪生の流れです。
この時期は一年間のスケジュールを冷静に確認し、
- 「どうすれば自分が一年間も受験勉強に集中することができるか」
- 「○月にはどんな勉強をするのか、どんな問題が出来ていないといけないのか」
を考えて、綿密に受験勉強の計画を作ってください。
ここで無計画に勉強を始めだすと、6月ぐらいから「その時に自分がするべきこと」が分からなくなり、受験勉強に対するモチベーションを失います。肝に銘じてください。
6~8月:普通はダレる
6月は、5月まで勉強を頑張ったことを言い訳にして、”少し休もう”という気持ちになりがちです。
「勉強ばかりだとメンタルや体に悪いし、何か始めてみようかな」と勉強以外に熱中できることを探すのもこの時期ですね。具体的には、アルバイトを始めたり、ジムに行き始める宅浪生がいます。
また、夏は大学生になった元同級生たちが長い夏休みに突入するので、どうしても彼らと遊んでしまいがちになる宅浪生もいます。
受験勉強を続けるには規則正しいリズムが必要ですが、それが夏は途切れやすいんです。
「少し前まで毎日8時間以上勉強できていたのに、ちょっと期間が空いたら4時間勉強するのも辛くなった。」
なんて宅浪生は数え切れないほどいます。「少しでも良いから毎日必ず勉強する」という習慣を付けましょう。
一応、6月に河合塾の『全統模試』がありますが、まだまだ受験本番までに時間があると錯覚して「腕試し」程度に考える方も多いです。
しかも、この時期の『全統模試』は予想以上に良い結果が返ってきやすいので、慢心が大きなりがちです
「夏を制覇したものが、受験勉強を制する。」
これは的を射ています。肝に命じましょう。
9月:漠然とした不安を感じる
夏までのイケイケの空気が一転、秋を感じながら受験に対する不安感が一気に押し寄せてきます。
久々に参考書を開いて勉強をしようとするも、意外に解けない問題が多いことに気づく。
そして問題が解けないことで勉強を続けるモチベーションも低下し、悶々としている間に時間だけが過ぎていきます。
受験期の前半戦と後半戦の境目ですから、ここで踏ん張ることが重要です。
10月~11月:受験までの残り日数を計算して不安増大
この時期から受験期の後半戦が始まります。
10月上旬にセンター試験の出願を行い、受験本番に対する不安がより大きくなります。
そして、受験本番まであと3ヶ月ほどしかないことを自覚し、多くの宅浪生たちが「もっと、がむしゃらに勉強しないと!」と焦りだします。
しかし、焦って勉強しても解けない問題が多いことにイライラ。受験のプレッシャーが大きくなり、夏まで怠けていた自分に後悔します。
正直、この時期は基礎的な単元の復習なんてしている時間はありません。
とにかく問題演習を解いて解いて解きまくり、志望校の過去問を解いて対策を始める時期です。
ですが、志望校の過去問題を実際に解いてみて、自分がまったく問題を解けないことに気づく宅浪生は多いです。しかも、現役時代よりも解ける問題が減っている方さえいます。
この時期に、志望校が「行きたい」大学ではなく「受かる」大学に変わる宅浪生は多いですね。
これらの対策はひとつ、この時期になる前にしっかり計画的に受験勉強をするだけです。
12月~1月:一気にやることが増えて焦る
「受験する大学の日程調整」
「受験にかかる費用の計算」
「大学近くで評判の良い宿を探す」
などなど、急に雑務が増えます。
ただでさえ余裕が無いのに、時間を消費して受験勉強に対するモチベーションを乱されてしまう時期ですね。
この時期は、とにかく本番形式で時間を計りながら過去問題を解きまくります。
一校の一年分の過去問を解くだけで多くの時間を使いますから、この時期はとにかく「時間の価値」を意識します。
そして、志望校を受ける前から合否を薄々察するようになります。
2月:入試本番
あっという間に受験本番が終わります。
ここで、浪人生活を良い気持ちで振り返る学生と、後悔ばかりで回顧する学生に別れます。
そして、大学に行くか、もう一年浪人するかの選択を迫られます。
大事な選択
宅浪生は忍耐力を求められます。
そして、少しでも気を抜いてしまえば、あっという間に志望校へは出が届かなくなります。
宅浪生は、頑張る受験生にも、堕落したニートにもなる可能性があるんです。
宅浪を選択するのか、予備校を選択するのか、しっかり考えましょう。
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