社会人が大学に進学する際の流れとポイント|大学に行きたい理由は明確ですか?

社会人が大学に進学する際の流れとポイント|大学に行きたい理由は明確ですか?

ここでは、社会人が大学に進学する際の流れとポイントについて説明していきます。

私は予備校講師として、かつて以下のような相談を社会人の方から受けたことがあります。

「現在、社会人として日々の仕事に励みながらも、大学進学を目指したい。」

この相談をしてきた方は、高校生の時にある理由によって大学進学を断念したそうなのですが、もう一度挑戦したいという熱意は現役高校生や予備校生さえもしのぐほどでした。

しかし、彼も「どうすれば社会人が大学生になれるのかさっぱりわからない」と困っていました。

実際、彼のような悩みを持つ社会人はとてもたくさんいると思いますので、今回はその方への対応を思い出しながら、どのようにして彼が大学進学を果たしたかについてもお話していきます。

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元予備校講師の営業マン

高校の非常勤講師、学習塾・予備校の講師の経験を活かして大学受験に関する記事を執筆しています。専門は社会科。推薦入試・公募面接・小論文対策の指導経験有り。

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社会人が大学を目指すよくある3つの理由

(1)資格を取得したい

社会人が大学進学を考える最も多い理由が資格の取得のためです。

たとえば、教員の場合、教育系の大学で単位を取得したのち、教育実習を経て教員免許状が公布されます。

免許状がなければ採用試験を受けることも、私立の学校で教鞭をとることもできません。

人気の資格である薬剤師の資格も薬学部を卒業し、国家試験に合格しなければ取得できません。

こうした場合、取得しなければならない単位も多いので一度仕事をやめて大学進学を考える必要があります。

 

(2)スキルアップを図りたい

経営について携わる仕事をする場合に有名な資格としてMBA(経営学修士)というものがあります。

以前はアメリカで取得するのが主流でしたが、近年は日本の大学でもMBAプログラムを実施するところが出てきました。

社会人として実務に携わっているからこそ生まれた疑問や新たに必要な知識などを大学で学びなおすことも含めます。

 

(3)大学で学びなおしたい

一度大学を卒業して就職したが、もう一度、別の学部で学びなおしたい。

あるいは、高校卒業と同時に就職したが大学で自分の興味があることを研究したいという希望を持つ方もいます。

中には、文系の大学に進学して卒業してから、理系の大学に通いなおすという人もいます。

 

大学に通うために会社を辞めるか否か

(1)会社に勤めながら大学に行く

会社に勤めながら大学に行く方法で、最も多いのが通信制大学です。

費用が安く、なおかつ勉強する時間を自分で決めることができる点が長所です。

しかし、基本的に自分一人での勉強ですので、モチベーションを維持するのがなかなか大変です。

仕事と大学の両立は口で言うほど簡単ではありません。

ちなみに、通信教育でもスクーリングとして「大学に行かなければいけない日」が設定されています。

また、夜間講座や短期集中での単位履修などの方法もありますが、仕事に支障をきたさないよう、スケジューリングをしっかり行わなければなりません。

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(2)会社を辞めて大学に進学する

時間面や勉強に集中できるのは、仕事を一度辞めて大学に進学する方法です。

こちらの場合、一番の心配事は収入の面でしょう。

少なくとも大学院では2年、学部では4年、薬学部などでは6年間も勉強に費やすことになります。

また、「大学卒業後の就職口をどうするか」など展望もしっかりしておかなければなりません。

大学卒業は必ずしもバラ色の将来を保証するものではないのです。

しかし、大学に通いながらインターンやアルバイトを通してスキルを磨いたり、お金を稼ぐことも勿論可能ですので、自分の目的に合わせて会社を辞めるかどうかを考えるといいでしょう。

 

社会人が受験する際の入試形態

(1)一般入試

現役生や浪人生と同じく、学科試験で大学入学を目指す方法です。

国語、数学、英語のほか、理科や社会の勉強もしなければいけません。

そして、受験勉強から時間が経過した社会人にとって一般入試は不利です。

現役生たちをライバルに戦うのは出来るだけ避けたほうがいいと言っておきます。

 

(2)社会人入試

「社会人入試」は、受験資格を社会人に限った入試です。

「年齢制限」や「実務経験〇年以上」といった制限を課して大学がほとんどです。

入試科目は「書類審査、面接、小論文」が一般的です。

一般受験に比べると社会人にとって有利なので、こちらのほうがお勧めです。

 

ある社会人の入試の実例

これは、私が予備校で講師をしていたころに担当した社会人学生についてのお話です。

予備校で行った一番初めのテストでは、その方のテスト結果は惨憺たるものでした。

しかし、これには当然の理由がありました。

もともと、工業系の高校に通っていて大学受験のための勉強は一度としてしたことがなかったからです。

しかも、彼の当時の年齢は21歳。卒業から3年以上のブランクがありました。

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ですが、彼はそのような状況でもまったく諦めませんでした。

予備校に通うために仕事を辞めたそうですから、すでに覚悟を決めていたのでしょう。

予備校に入るお金も、大学に通う資金も自分で調達したそうです。

そして毎日一生懸命に勉強を続けていて、その熱意は机を並べる予備校生たちに負けるものではありませんでした。

しかし、学科試験の成績はなかなか満足いくところまでたどり着けませんでした。

 

そんな時に彼が自分で探してきたのが社会人入試です。

その社会人入試の要項を確認すると、「実務経験3年以上」という条件も含め、すべてクリアしていました。

そこから、彼の社会人入試への特訓が始まりました。

社会人入試は、一般入試のように国語、数学、英語の勉強をすればいいわけではありません。

社会人入試には面接や小論文対策が必要であり、ライバルたちに負けないように志望理由や自己PRを詰める必要があったのです。

 

そして、私は彼と何度も何度も話し合いました。

テーマは「どうして大学に行きたいのか」です。

彼は当初「大学で学び直したいから」という志望理由を考えていましたが、あまりに志望動機として弱すぎたのです。

漠然とした動機ではなく、具体的で明確な動機が必要でした。

そうして志望理由を詰めていく中で、彼の中から出てきた本当の動機が「東日本大震災での被災地支援」でした。

彼の勤め先が被災地での支援活動にあたる仕事を請け負い、彼も参加していました。

「その中から、どうすれば惨事を防ぐことができるだろう。そのためには、今の自分では知識が足りない。」というのが、進学動機の一つでした。

 

柱が見つかればあとは何とかなります。

何度も話し合いを行い、彼自身の言葉で志望動機を考え、それを文章にする訓練(小論文対策)を続けました。

たしか倍率は3倍前後だったと記憶しています。

結果は合格。

彼は自分の力で学びなおすチャンスを獲得しました。

 

これから社会人入試を考える皆さんへ

社会人入試は、一般試験に比べてハードルが低いのは確かです。

しかし、安易に社会人入試を選ぶと志望動機でひっかかります。

「自分がどうして大学に行きたいのか。入学後に何をしたいのか。」

その答えが明確で学ぶ意欲があるならば、通信教育であれ、仕事を辞めてからの進学であれば、進学はあなたにさまざまなことをもたらしてくれるでしょう。

そして、入学するだけではなく「卒業する」までを視野に入れて大学進学を考えましょう。

大学生活は、目的をもって積極的に自ら行動しなければ得られるものは多くありません。

社会人から大学生へのジョブチェンジには様々な障害がありますが、大切なのは「覚悟を決める」ことです。

「大学に通うことで必ず目的を達成してやる」という覚悟を持つと、大学合格だけでなく、卒業まで有意義に過ごすことができるでしょう。

大学合格は、あくまでスタート地点に過ぎないのです。

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この記事を書いた人

元予備校講師の営業マン
元予備校講師の営業マン
高校の非常勤講師、学習塾・予備校の講師の経験を活かして大学受験に関する記事を執筆しています。専門は社会科。推薦入試・公募面接・小論文対策の指導経験有り。