予備校を選ぶ基準の一つに寮の有無があります。
特に、行きたい予備校が遠方にある場合は大きな要素となるでしょう。
その一方、地元から通える予備校も存在します。
予備校に通わなければならないとなった時、寮がある予備校とない予備校のどちらがよいのでしょうか?元予備校講師がアドバイスします。
寮のある予備校について
全国各地から学生を集める河合塾や駿台予備校のような大手予備校の場合、拠点となる大規模校の周辺に寮や推薦する指定寮があることが多いです。
また、寮によっては居住空間や食事だけではなく自習室を完備しているところもありますので、各予備校のパンフレットを取り寄せて比較するとよいでしょう。
入寮するメリット
(1)通学時間の短縮
多くの場合、寮や指定寮は予備校の周辺にあります。
そのため、予備校までの移動時間を大幅に短縮できます。
節約した時間を自習に充てることもできます。
(2)食事の心配をしなくてもよい
寮や下宿を選択しなかった場合、生活に関する時間コストを考える必要があります。
その中で一番大きなものは食事でしょう。
誰かが用意してくれるのか、それとも自分で用意しなければならないのかは大違いです。
受験勉強以外にかかる時間コストはなるべく節約したいもの。
実家を離れなければならない場合は、寮や下宿に入ることで食事の心配がいらなくなるのは心強いことです。
(3)生活リズムを保つことができる
食事の時間が決まっている寮の場合、それに従って生活リズムを一定に保つことができます。
これが崩れてしまうと、モチベーションの維持や弁口の効率の面で悪影響が出てきます。
ただし、細かなことまでは干渉してこないため、自分を律する意思が重要です。
誘惑に負けずにかんばりましょう。
(4)ともに学ぶ「仲間」を得られる
同じ釜の飯を食うという表現がありますが、食事を共にし、一緒に生活をしていると同じ状況で頑張る「同志」としての気持ちが芽生えます。
たとえ、一言も話さなくても、第一志望校合格という同じ目的のために頑張っている仲間を間近で見ることはモチベーションアップにとって極めて有効です。
時に語り、時に相反する意見を持つ仲間と過ごす時間は、今後の人生にとって大きな財産となるかもしれません。
寮を利用する際の注意点
(1)いつまで寮を使うことができるか最初に確認する
大学受験はおおむねセンター試験やその前後の各私立大学個別試験に始まり、大半の大学は2月末までに合否の決着がつきます。
各予備校の寮も、それにあわせて退去期限が2月末までとなっていることがあります。
これは、3月から新規の学生募集が始まるからでもあります。
国公立大学前期試験の合格発表は3月初旬、それ以降の国公立大学後期試験や私立大学の3月受験の時にどうするのか。
量を引き払って自宅から受験するのかなど最後の最後まで受験に集中できる環境なのか調べておくことが必要です。
(2)寮内の人間関係に流されない
接触は密ではないとしても、同じ場所に多くの人が共同生活を送っている以上、対人的な接触はつきものです。
お互いを高めあう良い関係ならよいのですが、中には小さなことからいさかいになって互いに生活しにくい状況になってしまうかもしれません。
人間関係ばかりは自分が気を付けていてもまきこまれることはありますが、可能な限りトラブルは避けたいところでもあります。
寮での人間関係を引っ張りすぎることなく、受験に取り組むことが大事です。
(3)寮の費用
寮に通うとなると、予備校の授業料にプラスして寮の費用がかかることです。
そうなると、肝心の受験やその後の大学の学費に回すことができるお金が減ってしまうかもしれません。
資金面でショートしないためにも、スポンサーとなる親と十分に相談しておかねばなりません。
寮に通わず通学するという選択
多少距離があっても、あるいは大手予備校ではなく地元の予備校であったとしても、そちらに通うという選択肢もあります。
その時は、通学することでのデメリットを解消する工夫をするとよいでしょう。
例えば、通学時間には英語のリスニングや音声教材を使う、生活リズムを保つために親と話し合う、学割や通学費を補助してくれる予備校を探すなどです。
寮に入ること自体は合格の絶対条件ではありません。
寮の経費を浮かせることで受験面での選択の余地を増やすことができるかもしれません。
まとめ
寮に関してのメリットや注意点、あえて通学するという選択などを紹介してきました。
ただ、寮に入ったからといって合格率がアップするわけではありません。
合格するためには予備校に通うだけではなく、どれだけ合格のために勉強したかにかかっています。
寮は、補助的なものなのです。
自分が浪人する目的をしっかりと見据え、目的達成のために寮が必要かどうかを考えてみてはいかがでしょうか。