受験の要は夏の学習にあり。
これは冬に入試がある大学受験にとって、いわば常識といってもよいでしょう。
そのため各予備校も夏期講習には力を入れ、テレビCMも多く流されます。
4月に予備校に通わず自宅で学習することを選んだいわゆる「自宅浪人生」からすれば、予備校の夏期講習会を受けるべきか否か迷うところでしょう。
今回は、浪人生が夏期講習会だけ予備校に通うことのメリットとデメリットについて説明します。
夏期講習が行われる意味
予備校が夏期講習を実施する一番大きな目的は、知識の総まとめと習熟度のチェックです。
夏のうちに弱点を洗い出し、秋の模擬試験シーズンの前に補強することが目的です。
ということは、夏期講習は自分自身のリアルな学力を客観的にとらえるチャンスだとも言えます。
すでに受験内容を一通り学習している浪人生たちが夏期講習を活用するメリットについて見ていきましょう。
夏期講習に通うメリット
(1)弱点補強ができる
夏期講習会では、予習講座もありますがたくさんの復習講座があります。
上手に選択すれば、効率よく弱点を補強することができるでしょう。
そのためには、現役時代に受けた模擬試験などを事前に確認し、自分の弱点がどこにあるのかを見極めなければなりません。
講習会を受ける前に、補強すべき弱点を見つけておきましょう。
(2)自習室を利用することができる
自宅浪人生の悩みの一つが、集中して継続的に勉強することができるスペースの確保です。
自分の部屋が集中できればそれに越したことはありませんが、家族と一緒に住んでいる以上、いつも学習に適している環境を維持できるとは限りません。
一方、学習に関係のないものを一切遮断し、受験勉強に集中して取り組むことができるよう整えられているのが予備校の自習室です。
夏期講習に参加している期間は、予備校生ではなくても自習室を利用することができるので、この大きなメリットを活用しない手はありません。
ただ予備校によっては自習室の利用ルールが異なりますので、講習会を受ける前に下調べをしておきましょう。
(3)客観的に自分の状況を把握できる
模擬試験などを受けることにより、自分自身の学力データはある程度把握できると思います。
- 「各科目の得点」
- 「偏差値」
- 「志望校の合格率判定」
などが主なものですね。
しかし、データは読み取り方次第で思わぬことがわかったりするものです。
点数が良くても、本来なら間違えてはいけない基本事項で失点が目立つ場合は「得点力が不安定」だと懸念されます。
点数だけではなく、失点が「基本事項」であるか否かを知るには自分以外の第三者の分析が効果的なのです。
夏期講習を受けている間に予備校の進路担当などに相談することができれば、より客観的に自分の力を見極めることができるはずです。
「しっかり勉強しているつもりなのに点数が伸び悩んで困っている」という自宅浪人生の方は、特に予備校講師という第三者の目を取り入れてみるのがおすすめです。
(4)受験勉強に対するモチベーションアップ
自宅浪人をしているときは、どうしても自分の家族や限られた範囲の友人としか接触が持てません。
しかし、予備校では自分と同じく受験に向けて努力している予備校生を間近で見ることになります。
集中力を保ったまま一日中勉強している浪人生たちを見ると、受験勉強のモチベーションはとても上がります。
一生懸命やっている他人の姿は、自分の中にあるライバル心を刺激することが多いのです。
「4月からずっと一人で受験勉強をしてきたけど、なんかダレてきたな」
と困っているときは、ぜひ同じ浪人生たちが予備校で勉強している姿を目に焼き付けましょう。
(5)進路情報を手に入れることができる
大学入試は毎年のように制度・試験科目が変化します。
高校生の頃は、進路相談の先生や担任の先生が大学入試の最新情報についてよく教えてくれたと思いますが、浪人生は各大学のHPなどをチェックし、最新の受験情報を自分で取り入れないといけません。
これが意外とめんどくさいんです。
特に昨今は、センター入試の廃止が決定したり、私立大学が難化するなど大学受験業界の変化が著しいですから、情報収集には大きな労力を割くことになってしまいます。
でも、せっかく浪人してまで1年頑張ろうと思ったのなら、少しでも多くの時間を勉強に割きたいですよね。
そこで、自宅浪人生の方は夏期講習を利用し、予備校にある進路関係の情報や、チューターが知っている最新情報を手に入れておくことをおすすめします。
夏期講習に通うデメリット
(1)拘束時間が長い
選択する授業の数にもよりますが、予備校で授業があるときには出席しなくてはなりません。
その授業が自分の中でしっかり理解できていて、授業をわざわざ受ける必要が無くても、その授業が必修(必ず受講しなければならない)になっているかもしれません。
そうなれば、授業を受けるメリットはあまりありませんよね。
正直、貴重な受験勉強の時間が無駄になってしまいます。
また、受講数を増やしすぎてしまったために自主学習の時間をとれなくなってしまい、、「予習と復習だけで夏期講習が終わってしまった」なんてことも考えられます。
夏期講習を受ける際は、「自分に必要な授業は何か」を考えて慎重に選ぶことを意識しましょう。
(2)予備校までの移動時間がかかる
家で主に勉強する自宅浪人のメリットは、移動時間が全くないので時間のロスなく勉強に取り組むことができる点です。
しかし、予備校に通うとなると通学の時間が発生します。
また、場合によっては移動までに大きな体力を消費することも考えられます。
この点から、夏期講習を申し込む予備校を選ぶ際は「できるだけ家から近い」という条件も考えておきましょう。
(3)周囲と慣れあってしまう
地元の予備校に通った場合、あなたの友人がすでに夏期講習を受けているかもしれません。
また、夏期講習中に仲良くなる友人もいるでしょう。
しかし、友人と意気投合しすぎて一緒に遊びまくってしまうのでは、何のために夏期講習に行ったか分からなくなります。
夏期講習は「あくまで勉強するために行くところ」だということを忘れないよう心がけましょう。
夏期講習だけでも通う意味はある
自宅浪人は刺激が少ない分、だらけてしまいがちです。
特に夏は勉強以外の魅力的なことが多いですから、ついつい勉強のペンが止まってしまいます。
しかし、夏を制することができない受験生は第一志望合格から一気に遠ざかってしまうのです。
予備校の夏期講習は拘束時間や移動時間など非効率な面はありますが、環境をかえて気分を一新できるなどメリットもたくさんあります。
ぜひ、自宅浪人生は最寄りの予備校の夏期講習を受けてみてください。