指定校推薦は大学入試の中でも最も合格率が高い入試制度だとされます。
ほとんど落ちることはないとされていますが、本当のところはどうなのでしょうか?
落ちるとすればどのような時で、落ちた時にはどうすればいいのでしょうか?
元予備校講師がわかりやすく解説します。
※指定校推薦の校内選考に落ちた場合についてはこちらの記事を参考にしてください。
指定校推薦で落ちる学生はいるのか
指定校推薦で不合格になる学生はほとんどいないとされます。
その理由は、指定校推薦が大学が高校を信用する形で行う入試形式だからです。
大学側は確実に優秀な学生を確保したいという思惑を持っています。
一方、高校側は一人でも多くの学生の進学なり就職なりを決めて送り出したいと考えています。
いわば、高校側が出したお墨付きを全面的に信用する入試なのです。
そのため、不合格の実例をみいだすことはとても難しいのです。
それでも指定校推薦で落ちる可能性を考えるとすれば、以下のような場合が挙げられます。
(1)当日、試験に行かない
(2)出願書類に不備があったり、願書を出していない
(3)志望動機が学部学科の学習・研究内容とあまりにそぐわない
ただ(3)のような場合については、明らかに問題がある志望動機なら志望動機書の段階で高校側のチェックが入ります。
指定校推薦は校内選考を経て出願者が決定されますので、志望動機をスルーされる可能性は極めて低いです。
もし、あまりに適当な志望動機で何の修正もされないというなら、それは高校側のチェック体制が甘すぎます。
また、志望動機を面接で述べる場合も志望動機書の内容に沿うものになるはずです。
どちらにしても、高校側の事前チェックが入ります。
これらのことから考えると、志望校推薦は「自分から落ちるために、意図的に何かをした」ということでもない限り、落ちる可能性は極めて低いといっていいのです。
合格取り消しには注意が必要
指定校推薦で合格が決定した後、合格者がしてしまった行動によって合格が取り消される可能性があります。
(1)卒業前の問題行動
校則違反などの問題行動があった場合、高校側の判断で大学に連絡が行き、合格取り消しになる可能性があります。
合格者と高校側の信頼関係が崩れてしまったことを意味します。
そうなれば、信用できない人を学校代表として大学に推薦するなどもってのほかですよね。
(2)入学手続きのミス
大学受験は合格して終了というわけではありません。
入学意思などを示し、指定の日までに書類提出と入学金などの振り込みが必要です。
これらの手続きを取らずにいれば、入学する意思がないものと見なされ、合格取り消しになってしまいます。
(3)高校を留年した場合
高校を卒業できなければ、指定校推薦の合格も取り消しです。
もともと、大学に出す書類は「卒業見込み」での提出です。
卒業できなければ、条件が崩れるので取り消しはしかたありません。
指定校推薦の合否についての結論
指定校推薦では、不合格となる可能性は極めて低いです。
しかし、手続き不備や素行不良などにより合格取り消しになる可能性は十分あります。
すべての手続きを終えるまで、油断しないようにしましょう。
指定校推薦の合否を心配するよりも、指定校推薦を含めた入試の全体スケジュールや合格後の時間の使い方のほうが重要ではないでしょうか。
指定校推薦に関連して備えておくべきこと
指定校推薦では、推薦入試の合否そのものよりもそれ以前の校内選考が最重要です。
校内選考の段階で落とされることは十分にありうることです。
落とされてからうろたえてしまいパニックになってしまうことがないよう、事前にいくつかのシナリオを想定してきましょう。
大事なのは4月段階で、その年の受験スケジュールの大枠を決め、5月には大学研究を終えて志望校の絞り込みを行っておくことです。
転ばぬ先の杖でありませんが、想定がしっかりしていればいるほど、突発的なことに対応しやすくなります。
また、指定校推薦だけに頼り切らない準備も大切です。
第二志望以下をしっかり設定して、万一に備えましょう。
推薦入試の有無や一般試験についても調べ、指定校推薦が取れなかったときに備えるべきです。
合格後の時間の使い方
指定校推薦の合否判明は11月ごろが多いです。
翌年の4月までの間のおよそ4か月間の使い方がその後の大学生活を決めるといってもよいでしょう。
入学手続き終了後、大学側から「宿題」が送られてくることが多いです。
それをやりこなすことはもちろんですが、大学のHPなどをしっかりみて、入学後の勉強やシミュレーションを進めましょう。
大学での勉強は高校とは違い自分で調べることが多くなります。
4か月もあれば、大学の研究内容や進路先などの基本情報を頭に入れておくことも難しくないでしょう。
また、新聞などの時事に精通しておくこともできます。
高校の先生方とも相談しながら、課題だけに頼らず、自分でできることを見つけて学習しましょう。