AO入試はバカにされる?知っておくべきAO入試に対する考え方

AO入試はバカにされる?知っておくべきAO入試に対する考え方

AO入試は、学力以外の面も評価するために始められた入試制度です。

実際、「学力不足の学生が増えるのではないか」との懸念が開始当初からありました。

そのため、AO入試の合格者を「学力面で低く見る」意見がインターネット上では見受けられます。

いったいどうしてそんなことになっているのでしょうか?

高校・予備校の講師の経験を活かして説明します。

 

目次(もくじ)

1.AO入試合格者に対する疑念を抱かせた近年の出来事

(1)2013年のマイナビによる就職内定率に関する調査

大手人材広告企業のマイナビが2013年に調べたアンケート形式による入試区分別の就職内定率調査によると、

一般入試合格者の就職内定率が60.1%、センター試験利用入試が55.5%、推薦入試が53.8%、AO入試が45.9%でした。

この調査発表を引用して、「AO入試は就職に不利である」との主張がインターネット上でなされるようになりました。

 

(2)STAP細胞事件

2014年に理化学研究所の研究員らが発表したSTAP細胞に関して、論文不正などが指摘され撤回された事件ですね。

研究員がAO入試の合格者であったことなどから、AO入試合格者はふさわしい学力を有していないとの主張がなされました。

 

2.AO入試が疑問を持たれる理由

AO入試は、開始当初から問題視されていました。

その理由は、「AO入試は学力をあまりに軽視している」というものでした。

そもそも、AO入試は学力以外の面で人物を評価し、大学が受け入れたい人材(アドミッション・ポリシーに適合する人材)を採用するための入試制度です。

学力試験だけに頼らず、多様な人材を採用したいという大学側の意向が反映された入試形式なわけです。

 

しかし、教育制度などを審議する「中央教育審議会」は、AO入試について「大学の学力低下につながる」との危惧を表明していました。

そしてもう一つの問題として、「合否判定の基準がわかりにくい」ということもありました。

面接にせよ小論文にせよ、AO入試では学科試験ほど明確な判定基準を出すことは困難です。

AO入試の、不透明な入試制度に対する不信感が生まれてもおかしくありません。

それゆえ、AO入試そのものに対して不審の念を禁じ得ない方々が多いのだとと考えられます。

 

3.AO入試の合格者は本当に「ダメ」なのか

AO入試についてもう一度見直してみましょう。

そもそも、AO入試では学力で測れない能力や適性を面接や小論文で探り出し、大学のアドミッション・ポリシーに照らし合わせて適合する学生を合格させる入試制度ですよね。

それならば、AO入試合格者の入試時点での学力を論じてもさほどの意味は無いのです。

大事なのは、「AO入試合格者が大学入学後にどれだけ努力をし、成果を残したか」という一点につきます。

 

入学時点では、たしかにAO入試合格者の方が、一般入試の学生と比べて学力が劣っていたかもしれません。

しかし、それは本人の努力によって回復可能な優劣です。

AO入試が盛んなアメリカの大学は、一般的に日本の大学に比べ、入学(受験)ではなく卒業することの方が難しいことは一般的によく知られている事実です。

どの大学に入ったかよりも、大学で何をやったかが大事なのです。

 

AO入試合格者だからダメなのではありません。

初志を貫徹し、入試で述べた「大学に入ってからやりたいこと」を全力で取り組み、学力の不足を自分の努力で補ったなら、就職においてAO合格者だからといって落とされはしないはずです。

AO入試合格者だからと自分を卑下する必要は無いと覚えておきましょう。

ただ、AO入試で合格しても、そのチャンスを生かせないならマズイですよ。

 

4.AO入試は就職試験と似ている

AO入試では、何度も面接を繰り返して人物を審査します。

どこかで聞いた話だと思いませんか?

大手企業も一度の面接で合否を出したりしませんよね。

何度も面接を行い、本当に会社のために役立つ人材なのか、必死に見きわめてきますよね。

その試験方法はAO入試そのものだと思いませんか?

 

なぜ、大手企業でそんなに手の込んだ面接を繰り返すのか。

それは、変化する世界情勢やビジネスに対応するには、学力だけでは不十分だと感じているからです。

学力だけで人物審査を終えたいなら、ペーパーテストで優劣をつけ、出身大学を見極めて採用すればいいのです。

これだと採用にかかるコストも削減できるでしょう。

 

しかし、大手企業は何度も大きなコストをかけて面接を繰り返して人物審査をします。

それは、信用に値する人を採用したいからです。

面接重視型のAO入試合格者は、新卒就職試験の前にすでに一度その難関をくぐり抜けていることですね。

大学を選んだ時と同じように、企業を選ぶ時も必死に調べ、自分の中の志望動機と企業の方針を照らし合わせたうえで熱意をもって企業に訴える。

AO入試と同じことではないでしょうか。

 

5.バカにされても気にする必要は無い

世間でいうところの「AO合格者はダメだ」のもとになっているのは、大学で自分を磨くチャンスを与えられながらも結局何もせず、AO入試の際に語った目標を忘れ、ふらふらと単位を取るだけの大学生活を送った学生たちではないでしょうか。

それは、一般入試であれ推薦入試であれ同じです。

ただ何となく4年間をダラダラ過ごした大学生は、就職面接で語るべきものを何も持ってはいないでしょう。

研究でも、アルバイトでも、サークル活動でも、何か一つ打ち込んだものがあれば、それから得られたなにかはあるはずです。

AO合格者はバカだと決めつけている人なんて気にする必要はありません。

長いようで短い4年間で自分の目標を成し遂げられるよう、計画性を持って大学生活を送ることを考えましょう。

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