「AO入試を受けようと思ったけど、もう間に合わないかも」と、慌てて駆け込んでくる学生が例年後を絶ちません。
AO入試は「勉強しなくても大丈夫」という誤解があるせいか、多くの受験生たちは準備が遅れがちなのです。
AO入試には、出願から小論文・面接対策まで準備することがたくさんあります。
今回は、AO入試を受ける受験生たちが「いつ、どのような準備を進めるべきか」を高校教師と予備校講師の経験を活かして説明します。
AO入試を受けようと考えている方は参考にしてください。
高校1・2年生時にするべき準備
「AO入試って、3年生になる前から準備が始まるの?」と驚いてしまう方は多いでしょう。
しかし、AO入試のことを少しでも考えているのなら、高校一年生・二年生の段階からコツコツと準備を進めるべきです。
とは言っても、この時期にやれることは多くありません。
基本的には次の2点の準備をしておきましょう。
(1)評定のアップを狙う
AO入試や推薦入試を考えている場合、高校から大学に提出する「調査書(学生は開封不可)」の存在を無視することはできません。
調査書には、在学中の成績や特別活動など、高校在学時のあなたに対する高校側の評価が記載されています。
とよく耳にしますが、大学側にとって調査書は重要な資料の一つであることは確かです。
毎回の定期テストでしっかりと結果を出し、芸能教科も含めて可能な限り高い評定平均を得るように努力しましょう。
(2)小論文対策
小論文の書き方などのスキル面は、高校三年生になってからでも十分間に合います。
しかし、自分の考えの元となる知識や社会に対する関心などは、付け焼き刃ではなかなか身につきません。
新聞・テレビのニュース・ドキュメンタリー番組など、今現在、社会で起こっていることに関心を持ちましょう。
その際、コメンテーターや解説者の言うことを鵜呑みにせず、自分でも調べてみることが肝心です。
情報を得て、それに対して自分なりの疑問や主張を持つことは小論文を書く上でとても大事です。
小論文で高得点を取るためにも、社会に対する関心を持ちましょう。
AO入試の小論文|対策とコツを指導経験を活かして解説します
4月にするべき準備(高校3年生)
(1)行動計画の作成
高校三年生に進級したら、早々にやっておかなければならないことがあります。
それは、「9月までの限られた期間にどのように動くべきか」という行動計画を作ることです。
「9月?まだ早いんじゃない?」そう思った人は、AO受験者としては少し動きが遅いです。
後で詳しく述べますが、AO入試は9月にはスタートします。
部活動などをしている人は6月、全国大会などが絡めば7月・8月まで多くの時間を勉強以外にも使わなければなりません。
AO入試に割くことができる時間は、そんなに多くないのです。
4月といわず、3月の春休みから入試に向けての計画を作るくらいでないとAO入試に間に合わないのです。
(2)各大学のHPをチェック&志望校の絞り込み
各大学の公式HPを見たり、進路指導室にある昨年度の募集要項やパンフレットなどを見たりして、志望校の絞り込みを開始しましょう。
AO入試は一般入試よりも時期が早いので、この時期に志望校を絞っておく必要があります。
自分の将来、大学生活の目標から逆算し、自分に合った志望校を選びましょう。
(3)小論文対策とニュースを見る習慣作り
小論文を書く技術は、一朝一夕で身につくものではありません。
特に、AO入試の小論文はテーマとして課題文が与えられることが多いですから、読解力も必要になります。
本番前に焦らないよう、この時期から小論文の演習をしておきましょう。
また、面接や小論文で問われるかもしれない時事問題に備えて、ニュースを見たり新聞を読む習慣をつけましょう。
5月にするべき準備(高校3年生)
(1)アドミッション・ポリシーの研究
4月中に各大学の下調べを終えていれば、自分が行きたい・関心がある大学は絞り込めていると思います。
そこから、さらに志望校を2~3に絞り込み、各大学のアドミッション・ポリシーを読みこみましょう。
具体的には、「〇〇大学 アドミッションポリシー」と検索すれば見つけられるはずです。
アドミッション・ポリシーは大学の核になる部分なので、コロコロと変更されることはありません。
正式な募集要項が出る前に研究できる部分です。
(2)エントリー書類の下書き開始
アドミッション・ポリシーと照らし合わせながら、自己推薦書などの必要なエントリー書類を準備しましょう。
いきなり「自己PRをしなさい」と言われても難しいですから、少しづつ準備を進めることをおすすめします。
分からないことがあれば、進路指導の先生や担任、予備校の先生などに早めに相談しましょう。
まだこの時期は受験については忙しくないので、ゆっくり相談に乗ってくれる可能性が上がります。
6月にするべき準備(高校3年生)
出願予定校の募集要項を取り寄せる
6月にするべき準備は、「出願予定校の募集要項を取り寄せる」ことです。
- 「今まで調べてきた内容で変更はないか」
- 「新しく付け加えられている情報はないか」
- 「書くべき書類の種類や願書の受付開始日はいつからか」
- 「願書の締め切りは消印有効なのか必着か」
確認することは山ほどありますので、早めに募集要項を取り寄せて熟読しましょう。
書き損じが心配な人は、複数取り寄せてもいいでしょう。
7月にするべき準備(高校3年生)
(1)前期の期末テストで評定平均UPを狙う
調査書に記載される評定平均は、3年生の1学期にほぼ確定します。
7月の期末テストはなんとしてでも高得点を取り、評定平均を上げておきたいところです。
期末テストもAO入試の一環だと考え、自分の過去最高成績を狙いましょう。
(2)志望校の確定
6月に取り寄せた募集要項やパンフレット、各大学のHPなどを見て、自分が行きたい大学を確定させなければなりません。
ほかの受験生が1月末に行う作業を、7月中に終えていなければならないのです。
大学進学後に後悔しないよう、本当に自分に合っているか考えて志望校を選びましょう。
(3)三者面談
AO入試受験生であることがはっきりしている場合、「高校側が三者面談を設定する」ことがあります。
面談前までに、「本人と先生」「本人と保護者」の間で受験先についてしっかり説明し、納得と合意を取り付けましょう。
サポートする先生やスポンサーである保護者の同意が得られている状態だと、受験に向けて専念しやすいのです。
もちろん、何かしらの反対を受けても、受験は受験生本人がすることなので本人の意思が最優先だと私は思います。
先生や保護者を説得するためにも、しっかりと準備をしておきましょう。
8月にするべき準備(高校3年生)
志望校のオープンキャンパスに参加する
高校の夏休みに合わせて、各大学ではオープンキャンパスを実施します。
AO入試の場合、オープンキャンパスへの参加が必須である場合があります。
仮に必須でなかったとしても、オープンキャンパスには必ず参加しましょう。
なぜなら、AO入試は「どうしてもこの大学に入りたい」という熱意を重視する入試だからです。
大学側の立場に立って考えてみると、AO入試の受験生に「オープンキャンパスは行きましたか?」と質問して、「いいえ」と答えられてしまった場合、その受験生の志望動機に説得力を見出すことができるでしょうか?
「本当にうちの学校を志望しているのなら、オープンキャンパスくらいは来てほしい」と思うのが一般的でしょう。
オープンキャンパスへの参加は、大学に「志望の本気度」を見せるチャンスなのです。
ちなみに、これは推薦や一般入試で面接がある場合も同様です。
「オープンキャンパスには参加しましたか?どんなことが印象に残ってますか?」と面接で聞かれたときに焦らないよう、オープンキャンパスには参加しましょう。
オープンキャンパスに参加したら、大学の雰囲気、説明してくれた教授や学生の発言、展示されているものなど事細かにチェックし、必要に応じてメモを取りましょう。
また、参加者に「任意」でオープンキャンパスの感想を書く用紙が配られることがありますが、記名の上でしっかりと書いて提出しましょう。
また、その内容は覚えておいて、後日質問されても答えられるようにしましょう。
面接時にオープンキャンパスの印象などを尋ねるのは定番中の定番です。
しっかり備えておきましょう。
9月~11月にするべき準備(高校3年生)
出願は8月から受け付ける大学が多いですが、本格化するのは9月ころです。
エントリー書類を先生方にチェックしてもらい、書類に不備がないか確認して出願しましょう。
同時に面接対策が行われるはずです。
厳しい質問にもめげずにしっかり頑張ってください。
早い大学では11月には合否が判明します。
不合格でもめげずに気持ちを切り替えましょう。
センター試験が必要な場合
大学によっては、センター試験の結果も合わせてAO入試の合否判定を出すことがあります。
また、もしAO入試に落ちてしまった場合、センター試験の点数が必要になるという方も多いはずです。
AO準備に並行して、センター試験対策も怠りなく頑張りましょう。
一般入試に比べると、AO入試はかなりスピードを要求される入試です。
締め切りが早いので、一つ一つ間違わずに着実に実行しましょう。