今回は私の塾講師バイトの経験と知識を交えながら、塾講師バイトの実情について伝えたいことをまとめてみました。
塾講師バイトは、「約4割の大学生が講師系のアルバイト経験がある」と言われているほど大学生に人気のアルバイトです。
実際に大学生活を送っていても塾講師のアルバイトをしている学生とよく出会います。
ですが塾講師のアルバイトは楽な仕事ではないですし、誰にでもおすすめできるアルバイトでもありません。
塾講師のアルバイトに興味がある方は、ぜひ当記事を参考にしてみてください。
ポイント
- 大学生の約4割が講師系バイトの経験者
- 個別指導塾と集団塾の講師は別モノ
- 塾講師バイトは思うほど楽ではない
塾講師バイトに向いている人
- 人に何かを教えるのが好きな人
- 計画的に仕事をしたい人
- 学校の先生を目指している学生
上のどれかに当てはまる人は、塾講師にかなり向いていると思います。
特に計画的に仕事をしたい人には、塾講師はかなりおすすめできます。
自分のペースを大事にしたい人にとっては、塾講師は最高のアルバイトだと思います。
また、個人的に学校の先生を目指している方は、絶対に集団塾の講師のアルバイトを経験するべきだと思います。
教師は責任も重く大変な職業ですから、人によって向き不向きが大きいです。
「先生になりたい」と言って教育学部に進学した友人が3人いますが、結局みんな大学生活中に進路を変えました。
実際に教師になる前に塾講師バイトを経験して、自分が「先生」に向いているか、試してみることをおすすめします。
塾講師バイトの時給と月収の平均
● 集団塾
時給:2000円ほど
月収:約7万円 (1日3時間/週3勤務)
● 個別指導塾
時給:1200円ほど
月収:約4万円 (1日3時間/週3勤務)
※地域によって差は有ります。
集団塾は、個別指導塾よりも一度に教える生徒の人数が多いこともあり、必然的に平均時給が高いです。
ちなみに、私は東京で個別指導塾の講師をしていましたが、時給は1000円でした。
働く塾を選ぶ際は、近辺の塾講師の時給の相場をしっかりチェックしておきましょう。
私は家庭教師の求人に応募した結果、個別指導塾を薦められて講師になりました。
【関連】【2021年版】大学生のアルバイト平均月収3.5万円よりも意識するべきこと
集団塾と個別指導塾の違い
集団塾の講師
⇒学校のクラスのように10~30人ほどを相手にして授業を行います。
個別指導塾の講師
⇒同時に1~4人ほど(基本的には2人)を相手にして授業を行います。
集団塾のイメージ
カリキュラム
● 学校のように、ある程度決められたカリキュラムどおりに授業を進める。
● 講師はクラス全体の学力平均や、授業進捗度に合わせてカリキュラムを調整する。
集団塾は、講師が黒板やホワイトボードを使って授業を進めます。
生徒たちは基本的に講師の授業を聞きながら、ときどき講師の指示で練習問題を解いたりします。
もちろん塾にもよりますが、イメージとして集団塾は学校のクラスのような雰囲気です。
また、集団塾では多くの生徒を相手にするので、
生徒ひとりひとりに細かに合わせたカリキュラムではなく、クラス単位の学力レベルでカリキュラムを調整します。
したがって、
- 授業についていけない生徒
- 逆に成績の良い生徒
に、かまい過ぎるわけにはいかないんですね。
生徒一人一人にかまいすぎることなく、できるだけ分かりやすく授業を進めることが求められます。
個別指導塾のイメージ
カリキュラム
● 生徒ひとりひとりの学力・進捗度に合わせて、講師が個別にカリキュラムを調整する。
● 生徒が理解できなければ、カリキュラムは先に進まない。
個別指導塾では、講師と生徒がブースに入った状態で授業が行われます。
講師と生徒の距離はかなり近く、生徒が講師にさまざまな質問をしやすい環境になっていて、生徒一人一人に根気強く教えていく感じです。
基本的には、学校のように授業を進めるというよりも、問題を生徒にどんどん解いてもらい、答え合わせをしながら分かりやすい解説を行います。
※暇といっても、スマホをいじれるわけではないので、生徒が問題を解いている姿を見たり、参考書をぼーっと眺めたりして待ちます。 時間の流れをとても遅く感じるので、この暇な時間を苦行に感じる方も多いです。
また、個別指導塾では生徒ひとりひとりに合わせてカリキュラムを講師が調整します。
ですから、生徒が授業についていけないようであれば、生徒が理解できるまでずっと同じ単元を根気強く教えることになります。
塾講師バイトの大変なこと
【1】授業前の準備が必要
【2】生徒だけでなく保護者の相手も必要
【3】仕事自体の責任が重い
【4】シフトの融通が利きにくい
【5】長期休暇の予定が特別授業でうまる
【1】授業前の準備が必要
当たり前ですが、授業を行うためには準備が必要です。
具体的には
- 「授業で教える範囲の決定」
- 「授業範囲の予習」
- 「宿題の内容」
などです。
慣れればすぐ終わらせられるのですが、生徒のことを考えてしっかり考える必要があるので、意外と大変です。
そして、この授業準備の分の時給を
授業外のことだから時給は発生しないよ。
という言い訳で出さない塾があります。
つまり、一部の塾講師バイトは「必ずしも給料が実働時間と比例するわけではない」ということです。
講師の立場からすれば、授業本番だけでなく準備時間も実働時間なわけですから、
その分の給料が出ないとなると、どうしても不満を感じてしまうわけです。
これが塾講師バイトはブラックだと言われがちな要因の一つとなっていると思います。
【2】生徒だけでなく保護者の相手も必要
生徒だけでなく、授業外で保護者を相手にしないといけない時もあります。
具体的には
- 「成績の報告」
- 「カリキュラムの進捗度の報告」
- 「今後の授業方針」
などです。
基本的には、親、(生徒)、塾長、講師で、面談を行うことが多いです。
保護者は面談で生徒さんのことについて様々な質問をされますが、その根底には不安があります。
「うちの子供はしっかり勉強していだろうか」
「塾に行かせているのにテストの点数が上がらないのですが・・・」
したがって、保護者の方々を安心させるように、しっかり説明しないといけません。
これには時給が発生する塾は多いのですが、「人に教えることの責任」を強く感じるので、
アルバイトで気楽にお金を稼ぎたいだけなんだけど。責任の重さが時給の割に合わない。
と感じてしまう方もいます。
【3】仕事自体の責任が重い
責任が軽い仕事なんてまずないわけですが、塾講師は本当に責任が重い仕事だと思います。
場合によっては、生徒の進路や将来を変えてしまうわけですからね。
毎回本気で生徒と向き合う必要がありますし、受験生を教える際は特に気をつけないといけません。
なかなか他のバイトでは経験できない責任の重さを感じる仕事です。
【4】シフトの融通が利きにくい
塾講師バイトは講師が担当のクラスや生徒をもっていて、基本的にシフトは曜日決めになっています。
私は、曜日によってシフトが固定されているのがかなり苦でした。
授業日時の変更は生徒の都合も関わってくるので、塾講師バイトは自分の都合だけで簡単にシフトを変更できません。
私の場合、通常のシフトを休みたい場合は、基本的に授業を代行してくれる講師を前もって”自分で”探さないといけませんでした。
飲食店バイトなどであれば、基本的に1週間~1ヶ月ほど前に希望のシフトを提出すれば、店長がシフトを調整してくれたりします。
飲食店の場合、学生バイト以外のアルバイトの方も多いですから、塾講師バイトと比べるとシフトの融通が利きやすいと言えるでしょう。
一方、塾講師バイトは「講師の大半が大学生」という現場がたくさんあります。
そのため、特に大学の期末試験の時期は勉強のためにみんなシフトを減らしたがり、
期末試験の時期に、自分の代わりに授業をしてくれる先生がいない。
という状況が発生しがちなのです。
ただでさえ大変な期末試験の時期に、このようなストレスがかかるのは最悪です。
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【5】長期休暇の予定が特別授業でうまる
集団塾でクラスを担当したり、個別指導塾で多くの担当生徒を持ったりすると、
夏休みなどの長期休暇の予定が特別授業(夏期講習など)でうまります。
長期休暇中は、平日でも生徒が朝から塾にこれるので、
- 「生徒の成績アップ」
- 「特別授業のコマを増やして稼ぐ」
という2つを狙い、どこの塾もどんどん生徒に授業を入れさせます。
そして、その影響は大学生講師にとってとても大きいです。
塾長
「夏休み中、君の担当生徒はほぼ毎日授業を入れてるからしっかり教えてあげてね。
君も夏休みだしイケるよね。稼ぎ時だよ!
休みたい日があれば、代わりの先生を探してお願いしてね。」
なんてことは普通です。
ですので、どうしても長期休暇中に予定を空けたい時は、
自分から他の講師の方にお願いして、担当コマの授業をやってもらわなければいけません。
しかし、たいてい他の講師たちも長期休暇中はコマがうまりまくっているので、
なかなか授業の代役を頼めないというケースが多いです。
ただ、かなり稼げる時期ではありますし、「長期休暇で稼ぎたい!」という講師に優先して授業を回すことで乗り切れたりします。
集団塾の大変なこと
集団塾の大変なこと
- クラスによってはカオス
- 相手にする生徒・保護者が多い
集団塾では、一度に多くの生徒を相手にしますが、中にはたいへんカオスなクラスもあります。
特に集団塾で働いている友人(男)は、小学5年生の女子だけのクラスを教えていた頃が一番荒れてました。
カオスすぎて授業を進められないようなクラスもあるんです。
また、集団塾は多くの生徒を担当することになるので、必然的に相手にする保護者も多くなって大変な印象です。
ですが、上手くカオスなクラスをまとめている講師ももちろんたくさんいます。
個別指導塾の大変なこと
個別指導塾の大変なこと
- 生徒によって授業がまったく進まないことがある
基本的に個別指導塾には、学力レベルが非常に高い生徒はそう多くない印象です。
いわゆる「勉強ができる学生」たちは、集団塾に通う傾向があると感じます。
したがって、個別指導塾には「勉強自体が苦手」だという生徒が多く、生徒によって授業がまったく進まないことがあります。
そんな生徒を根気強く教えることにやりがいを感じられるわけですが、時にカリキュラムが非常に遅れてしまい、焦ったり苦労を感じることもあります。
塾講師バイトの楽・魅力的なこと
【1】生徒からも保護者からも頼られる
【2】ある程度の余裕をもって仕事ができる
【3】時給が比較的高い ※塾による
【4】やりがいを持って仕事ができる
【5】不特定多数の人と接しない
【1】生徒からも保護者からも頼られる
塾の講師は、たとえアルバイトでも「先生」です。
ですから、生徒からは「先生」と呼ばれて基本的に慕われますし、
余程のことがない限り、保護者の方々からも頼りにされます。
アルバイトでこのような経験ができる業種はまずありませんから、塾講師の魅力的な部分と言えるでしょう。
しかし、そのぶん責任が重い仕事だということは忘れないようにしましょう。
【2】ある程度の余裕をもって仕事ができる
私はカフェのアルバイトをしたり、
派遣の短期バイトでイベント運営/設営に結構行っているのですが、やはり身体を動かして動き回ります。
飲食店バイトだとお客さんが突然増えたり行列ができたりするので、自分のペースよりも素早い対応力が重要になります。
アルバイト中にボケーっとできる時間は、なかなかありません。
しかし、塾講師バイト全般は授業中は自分のペースで進められるので、ある程度の余裕をもって仕事をすることができます。
とくに個別指導塾では、生徒が問題を解いているときは暇になります。この空いた時間に「次の授業の準備」をすることで仕事を減らしたり、なにか考え事をするのに使うこともできます。
【3】時給が比較的高い ※塾による
塾講師バイトは、他の業種に比べて基本的に時給が高いとよく言われます。
アルバイトでは時給の高さはかなり重要ですから嬉しい点です。
しかし、塾講師の時給は塾によって大きく異なりますし、「どこまでの業務に時給が発生するのか」も大事な点です。
単なる時給の高さだけでなく、実働時間で考えると時給はいくらになるのかを冷静に考えて塾選びをしましょう。
時間外労働が横行しているブラックな塾に入ったらすぐに辞めましょう。
【4】やりがいを持って仕事ができる
塾講師バイトは大変なことも多いですが、やりがいはとても感じられます。
アルバイトでは、基本的に大きな責任を伴う仕事は扱いません。
しかし、塾講師のアルバイトは、その性質上とても大きな責任を伴うお仕事だと思います。
現代の日本において。
「どれだけテストでいい点を取れるか」
という指標は人生に大きな影響を及ぼしますし、それにダイレクトに関わるのが塾講師という仕事です。
アルバイトであっても、当たり前のように授業を行いますし、
生徒のテスト結果を分析し、それを克服できるようにカリキュラムを修正したりします。
まさに、生徒たちの未来を左右する最前線に立っているのです。
他のアルバイトでは得がたい経験ができるでしょう。
【5】不特定多数の人と接しない
カフェや居酒屋などのバイトと比べ、塾講師は不特定多数の人と接することはありません。
ですので、
自分は人見知りだ。
と感じる方にとっては、
基本的に、毎週、ある程度決まった生徒を相手にする塾講師は、魅力的なお仕事と言えるでしょう。
私は、この点に関してはとても自分に合っていました。
仲の良い生徒もたくさん出来ましたし、そんな生徒との授業はとても時間が過ぎるのが早く感じました。
アルバイト中に誰を相手にするのか予想しやすいと、アルバイトに向けて自分の気持ちも整えやすくなります。
アルバイト中に変なお客さんが突然きたらどうしよう。
と心配してしまいがちな方は、塾講師は向いているかもしれません。
塾講師バイトに関するQ&A
Q1.塾講師バイトって学歴は関係ないの?
塾講師バイトというか、教育業界はここ数年どこも人手不足ですから常に求人募集をしています。
このように売り手市場ですから、大手進学塾を除き、学歴が原因で塾講師バイトに落とされるということは少ないでしょう。
4年生大学に在学している大学生であれば、採用してくれる塾は多いです。
そもそも学歴と学力は必ずしも比例しませんから、「難関大学」に在学していなくても、採用テストを受けてみるといいと思います。
Q2.塾講師バイトの服装や髪色は?
採用テストや面接を受ける際は、男女ともにスーツで黒髪が基本です。
ここを外すと採用試験で落とされる確率がハネ上がりますから、注意しましょう。
ちなみに、塾講師バイトでは、授業用の服装として「講師がスーツを自ら持参する」というのが基本です。
講師服を用意している塾もありますが、まだまだスーツ持参の塾が多い印象です。
また、髪色については塾長に相談してみましょう。
Q3.塾講師バイトの採用テストや面接の難易度は?
採用テストでは、基本的に「数学・国語・理科・社会・英語」の問題を解きます。
このテストの難易度は塾によって大きく異なり、大手の進学塾であれば、当たり前ですが、講師の質を高水準で維持するために採用試験がけっこう厳しかったりします。
しかし、小さな塾や個別指導塾であれば、採用試験はそれほど難しくない印象です。
そして面接は、最低限の学力と清潔感があり、明るくハキハキとしゃべれるならまず落とされないはずです。
落ちても塾講師の求人はたくさんあります。リラックスして受けましょう。
まとめ
個別指導塾と集団塾で働く大学生の割合は 4 : 1 ほど
であるというデータがありますから、圧倒的に個別指導塾で働く大学生のほうが多いです。
ただ、個別と集団のどちらが向いているかは本当に人によります。
● 生徒ひとりひとりにしっかり時間を使って向き合いたいのであれば、個別指導塾向き。
● 学校のようにクラスを盛り上げながら生徒を引っ張りたいのであれば、集団塾向き。
という感じです。
世の中にはさまざまな塾がありますし、とにかく塾講師バイトの求人を見てみるといいと思います。がんばってください。