【経験談⑤】起業のために大学を3年次に中退
【性別/年齢】男性38歳
【現在の職業】個人事業主
【中途退学した大学】東洋大学法学部
【中途退学した学年】3年次
起業するために大学中退を決意
大学を中途退学すると決めた理由を教えてください。
大学1年入学後に起業していて、事業規模が大きくなり、大学卒業を待っていたら商機を逃してしまうと考えられる状況だったため、休学・留年・中途退学の中から選択を迫られることになりました。
法学部ではありましたが、元々が学費を稼ぐためにアルバイトの傍らで演算プログラミングを専門に行うようになり、専用システムとセットでの開発と納品を行うようになったわけです。
受注量と作業量のバランスが悪くなり、3年次の途中から授業の履修が難しくなってきたため、中途退学して事業に専念すべきでは無いかと考えるようになりました。
実際、これ以上依頼を断り続けると1年後には事業がしぼんで依頼が来なくなる恐れがあり、同時に今受注すれば大学4年分の学費を上回る金額を1年で稼げる状態でした。
中途退学をしても今まで取得した単位は残るので、将来再度入学したいと考えた時には、履修済み科目として再履修を免除してもらえることを大学事務局で確認しました。
大学内でも当時から起業して中途退学する人がいたので、学生課の担当者も私立大学ゆえに相談に乗ってくれたわけです。
親によって大学生の進路は大きく変わる
親の説得には苦労しましたか。どのように親を説得しましたか。
既に両親は他界していて、学費を奨学金とアルバイトのみで自力で出していたことから、両親や親戚を説得する必要がありませんでした。
しかし、同じく起業を目指していた友人の中には、両親の説得によって中退を断念して事業への参加を取り止めた人もいます。
その人が卒業後に就職浪人している様子を見ていて、同じ道を辿らなくて良かったと思いました。
就職活動はしませんでした
大学を中途退学した後の就職活動について教えてください。
大学在学時に起業していた事業を継続する必要があったので、就職活動は行わず一般的な営業活動のみです。
就職活動を行うならば、最初から中途退学という道を選ばずに卒業を最優先で考えていたと思います。
仕事に没頭しました
中途退学後に就職活動をしなかった方は、どんな活動をしたのか教えてください。
大学1年次に起業した専用システム開発事業を継続し、全国の大学や大学院向けに演算プログラミングとシステムのセット販売を行うようになりました。
ニッチな業種であることと、私立大学は入金が早いですが、公立大学はシステム納品しても入金が半年後というケースが多かったので断るようにしていました。
経理部門まで全部個人事業主として自分で行う必要があったので、外回りの営業を行うことは無く受注調整とシステム開発に没頭する日々を送っていたわけです。
中退したからこそ開発資金をためることができた
中途退学して良かったと感じたことはありますか。
一度も就職することなく個人事業主という道を選んだわけですが、1つの事業を起動に乗せることができたことは大きいと考えています。
ニッチな内容だったために、未来永劫仕事が続く内容とは考えられませんでした。
しかし、大学を中途退学して5年間頑張ったことで、現在の別のシステム開発に向けて開発資金に余裕を持たせることができた点が大きいです。
当時は理学部数学科のみで使うコンピューター解析用の専用プログラミングでしたが、その後は物理学科向けの演算プログラミングも受注することができるようになりました。
その後コンピューター性能が飛躍的に向上したことで、専用プログラムを用意しなくても汎用プログラムを組み合わせて強引に演算できるようになったことで事業に一区切りが付きましたが、その頃には別のシステム開発に資金投入していたので苦しい時期にはならなかったわけです。
もし中途退学せずに大学卒業を待っていたら、次のシステム開発事業へ投資する資金を自力で用意できなかったことを考えると、中途退学という決断があったからこそ今の生活が送れているのだと実感しています。
中退前に就職先を探しておこう
大学を中退したいと考えている方へのアドバイス
大学を中途退学する際には、明確な理由とビジョンがしっかり見えている状態で、誰にでもプレゼンテーションを行えるようにしておく必要があります。
自分だけの狭い視野で見ていると、残念ながら失敗につながるだけでなく、中途退学しなくても卒業してから行った場合と大差ないことになりかねません。
少なくとも両親に学費を出して貰っている状態ならば、今まで出してもらった学費を全て返還する意思と実行力程度は最低限必要です。
大学の学費を自力で稼いで出しているならば、既に大学に通う時間とこれからやりたいことの比較ができているので、覚悟があって中途退学という道を選んでいるので問題ありません。
先に就職活動を行い、就職先が決まっている状態になってから大学を中途退学しても遅くありません。
就職活動を行っても必ずしも成功するとは限らず、中途退学という道を選んでも「すぐにウチに欲しい」と言ってくれる企業は現実問題として少ないです。
それでも来て欲しいと言われるほど本人に魅力があるなら、大学を中途退学しても働きながら単位取得できる通信制大学を将来は視野に入れることもできます。